しずかな夜がみんなにくる。 ねこも となりでねむるひとも すっかりどこかでやすまっている。
ときどき、わけもなく叫びだしたくなるんだ。
胸からおなかのあたりがのたくってぐるぐるとうずまいて 発声とはちがうなにか、でさけびたいと のたくって、あばれる。 ずしりとした粘土がうちがわがら外へ外へ ぶちあたっている、みたいな。
……もしかしたらそういう言葉でない声をやりすごすために なんらかの肉体をちぎることで、対処していたのかも、知れない。 文字どおり自分のそとがわに穴を開けることで。 ちいさくは、髪の毛一本の抜けることでも。
不穏当な発言であり気持ちであると よくよく知っているけれど それでも、今日もまた わたしのなかに沈んだ粘土はなぜか起き上がって ねじりながらのびあがる。
ねえいつまでこんな時間はやってくるのかな
神無月、ひざしの弱くあたたかかった日に 真火
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