『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2015年09月04日(金) 秋、そらみみ、チンダル現象。


ふらつくあたまを支えながら
叩きつけられる雨の音をきいている
しみだす汗をぬぐいながら
ねこのように、無音のひとこえを
発して

まぼろしの雨粒
頭蓋のななめ上のほうで
焼けて焦げつくものと似ている

空想のあなた
どこかにいたのかな
きのこの屋根のおうち
もぐりこんで秋を遊ぶ
落ち葉のあふれたまるい部屋で
ちいさくかがんで

紅い葉を左から順にならべました
ひとりのためのおまじないは
知られればやぶれる
それだけど

おかっぱよりものびた髪のわたしがひとり
ここにいてもいいと
ただ呼ばれたくてこもった
ポケット

そとはまぼろしの雨
寸断なく滝のように叩きつける雨
だれにも聴こえないばりばりばりばり
せかいがひび割れる

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

きょうにうまれたぐちゃぐちゃのものごとが
あしたに続きませんように
おひさまがのぼったらわたしはほんとうの夢をみていて
きちんと翌日に
目をさまして、ひざしに踊りまわるほこりの粒のした
ぴかりとこちらをみるねこの薄いきみどりの目に
まっすぐおはようを
言えますように

親しもうと呼んでいる壁のむこうのものではなく
指にふれることのできるつめたさあたたかさを
あれらよりもたしかだと
信じられますよう、に


長月四日
真火


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