ちいさくなれ
ちいさくなれ
ちいさくなれ
あたしを喰い荒らすこの生き物の心地、 心臓から這い出してどこまではいずり回る 縛るより足跡をのこすだけで もう、あたしより巨大に育つ、朝、 あかるいなかで目をあける
また、ここにきた。
あかるすぎてざんこくなひかりの ひややかなぬくもりを抱く錯覚を 視野いっぱいに拡げて また、うごかない てあしが こごえていく気配でみちていくのを 縮こまりながら留められない、あかるさとひかりと新しいくうき からっぽになりかわってゆくのを
あたしなんてちいさくなれかるくなれ 食い破るあなの、それでも消えてくれないのは 今からでもはっきりとみえた。
それでもねがってしまう しあわせとかふしあわせとか関係なしに ……消えたい そんな単純すぎてせかいを貫くことば あなたを どこまでか墜落させるひとつき
たすけてとか そんな軟弱で計算尽くしのうめき声 騙されてくれるだれか だましてくれる誰か このひかりのどこかにいるのだろうか
ふはり笑う。 つめたいはるの朝に手をのばして
左手の指輪おとなしくひかる。
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