さようならを言うつもりで あのひとがつくってくれた服を着た。
ミニスカートなんてはけない、と 思っていて、それで 別れようと思うから最後に着てみた、服。
ふと、街中を歩いていて鏡の横をとおりすぎた。
あたし。
ボルドーのJSKを着たあたし。
手編みレースにふちどられたあたし。
それ相当の、あたし。
お別れかと思うと泣きそうになるから 涙は封印したはずだったけど、 決心したはずだったけど、でも
でも、、、、
やわらかく深い紅の生地に触れると 少し、心の温度が高くなるような気がして あたしは
ひだりの手のひらで何度もスカートをなぜながら かなしいかなしいかなしいとくりかえしてないた。 涙も出ないで、ないて
………もう少しだけこのまま、生きていても、いいですか。
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