『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2004年07月27日(火) 玩具


壊れてた
音のする機械
触れればからころとひとり鳴り

ぽとり落ちた
糸の切れたゴムふうせん
ぜんまい仕掛けのオルゴヲル
錆びた匂いが
鼻を刺す

ひとつ取り出すごとに増えるくうはく、
なつかしかったぬくもりを
わたしは小さくまるめて捨てる

床いちめんに散乱す
さくら吹雪に似せていたのに
思えば玩具
気がつけば泥

頬を腕を脚を汚して
みひらいたくろい目のなかにうつる風の乱層
肌を切りさくあなたが笑う

ころがってゆくひしゃげた鞠を
この手が追わない
一滴のつめたい水を希求する
曖昧な意思にしずむことのできない
無骨なくろがねのなりをして

うつぶせにねむる
熱い手で
さぐる床にころがる乱舞、
塵あくた、と
唱えつけ
玩具を片せという声を
こどもは拒めず
ただ泣いて

わたしを真中に爆発するそら、
それといつくしみあってきたものたちを
離すまいと走った
壊れた片割れの
軌跡がむすうにひびわれてのこり
ぱきりぱきり
あたらしく割れてゆく

とおい過去の残滓はくだいて
はやくどこかへ捨ててこいと
高みのひとはくちぐちに言うのだ
力強いその手で
憤然とそらを漕ぎながら
われがねのように眩しいその航跡

そうさきみはやくこっちへ
そしてわたしとひとつになろう

……また。

くりかえし
触れればからころと鳴る機械
しずかに
まなこを閉じて
ばかもののわたしを小さくまるめて
ねむろう
おぼつかない歌が
口ずさめるほど
残骸のなかにも
ささやかにわずかに



2004.July 27-28, Maho.I


 < キノウ  もくじ  あさって >


真火 [MAIL]

My追加