『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2003年10月31日(金) わたしのすきなふく

わたしは流行のおようふくがすきではありません
どうしてかわからないけれどすきではありません
風にふわふわする長いスカートとかジャンパースカートとか
ちょこっと留めておくブローチとかまあるい感じの襟とか
コットンのおようふくとかエプロンドレスとか
そんな
100年も前だったらスタンダードだったとおもうおようふくが
すきです

100年前だったらみんな
ペチコートを着てボンネットをかぶって長いスカートを履いていました

流行なんてその程度のものでしかありえません

けど

おようふく。
わたしのすきなおようふく。

それはとても目につきやすいのでいろんなひとが
わたしのことをわらいます
それはとても指摘しやすいのでいろんなひとが
わたしのことを未熟だといいます
25歳の女の子らしくないといいます
おまえはもう少女でないにも関わらず
そのようなものを着るなといいます
現実から逃げているといいます
すべてが中途半端だといいます
なにかもかもできない子どものままでいたいのだと
わかったようなことをいいます

私の好きなおようふくを少女服とかんちがいしている
たくさんたくさんの男のひとたちへ
あなたの身につけているものは15歳のころと一体どれほどの
変わりがあったというのですか


わたしのこころはあなたがたのことばでぼろぼろになって
そうしてさいごにあなたがたは
もしもこのことばで傷ついたらごめんよと笑って言うので
わたしはもうこの涙をどこへやったらいいのかわからなくなってしまいます
人を傷つけるために研いだ刃なら自分の胸に突きとおすくらい
覚悟を持って振りかざしてたちむかうべきだとおもうのです
さいごに「傷つけていたらごめんね」なんていうのは卑怯だと思うのです
吐き出したことばの責任は謝罪のことばで帳消しにはできないのです

わたしのこころはぼろぼろです
なにを身につけたらいいのかわからなくて
わたしのこころはむきだしで
わたしのからだはむきだしで
血のまじった液体がじわじわと染み出てくるのを
舌で一生懸命なめながら
それでも、いたくていたくて、いたいから
もうなみだも出ない

目の前に並ぶひとつひとつ一枚いちまい
わたしがえらびとってつかみとってきた私をつつむ衣を
破り捨てて笑うあなたはそれで満足ですか
わたしがこれをすべて焼き捨てたら
そうしてごくふつうのそこらじゅうにあふれているお洋服で身を包んだら
それでみんなは満足するのですか
もうわたしを指差して少女ごっこをしているキチガイだと
いちいち刺し殺さずにいてくれるのですか


だからわたしはそのおようふくをぜんぶ捨てたい気持ちにかられます
ただ人の中にうずもれて目立たない人になりたくてこれ以上
ぼろぼろのきもちになりたくなくて

でもその一方でわたしを止めている糸はひとつ


「自分の着たいおようふくさえわかんないようなやつには戻りたくない」


わたしを踏みつけてくれたひとへ
わたしを刺し殺してくれたひとへ
たくさんの憎しみと
捨てきれない愛をこめて
それでもあなたの言うなりにはなりたくないと
血だまりのなかから



10月31日 深夜  真火


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