今年も、また 悪くなってきたらしくて 見えるものには嘘をつけなくて 静かに落ちていった
原因はわからないけど急に上半身がぼろぼろになったので アイスノンを抱えて、いたるところで至る時間、寝てた 体が熱を持ってしまうのが、ひいやりして楽になるのです それで、ときどき降ってくる雨の音などを聞いている
梅雨らしい梅雨だね。
やわになって無数に穴があいた肌からじわじわ体液がしみでてくる 肩とか首とか顔とか はやく固まってかさぶたになれなれなれ それまでを待っている
夜が更けるまで目をつむったままぼんやりと色々なことを考えていたけど そう、今のここから遡っていって、いろいろなことを思い出してみたけど 結局、わたしは今までに送ってきた25年をあんまり後悔していない というところで気持ちが落ち着いたようだったから きっと、大丈夫だと思った 現実はなにも変わらないけど、でも
たくさんのことをふわふわと思い出して確かめて見たけど 絶対にやり直したいと思うことはひとつだった いろいろ痛いことや悲しいことを思い出したけど それは、後悔とは別のことだ 後悔してるのは、ひとつ 14歳のとき、わたしは人をいじめてました
「くりかえせたら修正したいきのう」
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クラスの中で完全に孤立している子だったし 学校へほとんど来ない子だったし それは小学校の頃からの「慣例」で有名な話だったらしいけど わたしはそのことを知らなかった 一学年200人を越す小学校で、クラスは5つもあるところなのに どうしてそのことをみんなが知っていたのか わたしには今でも謎だけど、とりあえず その人と友達にならないというのは確かなルールだったらしい
ひとこと、
そんなルールしらない。
あっさりわたしはその子と話をするようになって クラスのみんなにことあるごとに驚かれて むしろ責めるような感じだったから どうして仲良くなったらいけないのよ!と聞いたら 何人かが「嫌わなくちゃいけない理由」というのを説明してくれた (驚くべきことにそういうものがあったのだった)
だけど納得できなかったので わたしはそのまんまでいた お弁当を一緒に食べて、体育の時にはおなじ班になって、 そういう、ごくふつうの ありふれたクラスのひと
もしも、そのままやっていけたら、よかったんだと思う 字で書いただけみたいに、そのまま「仲良く」やっていたのなら だけど結局わたしはその子のことを切り捨てたのが、ほんとう
二年生の時も三年生の時もその子とは同じクラスだったけど というより、なるべくしてなった、に違いないのだけど その頃には、もうわたしは その子と「べったりくっついて」いるのがとっくに嫌になっていて どんどん、つめたくなってしまったあとだった
よく憶えてる つめたくなってる自分がすごく嫌な顔をしてるに違いないと 思っていたこと 思っていたけど 止めなかったこと
それだけ。
相変わらず、その子が学校に来たときは わたしは一緒にごはんを食べたけど、そんな日はどんどん減っていって ほとんど皆無に近かった、と思う わたしの中学校生活の中にその子の痕跡はほとんど残ってない
修学旅行のとき わたしの班にはその子の名前があったけど、 旅行が近くなって、クラスの子が めずらしく学校に来たその子の席に近寄って 修学旅行、行く?と聞いた その子は、ううん、と首を振った 聞いた子は笑顔で、よかったぁ、と言った
新幹線の席順や部屋の割り振りの表からその子の名前が消えた
修学旅行は、たのしかった
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自分はクラスの人とはちがうと思っていた よくわけのわからない理由で無視して黴菌扱いしてるみんなとは 違うんだと、どこかで思っていた 考えてみればすごくすごく嫌なやつだ やっていることはおんなじじゃないか、って て言うよりクラスの誰より嫌なことをしているって そう考えたときはもう遅くて 話しかけても遅くて 本が好き、というおんなじところを見つけたけど遅くて その子は、卒業式にも来なかった
来られなくした人のなかに、わたしも居たんだ
はっきり思ったかどうかは、知らない だけど 自分のことをいじめた人の名前は気がついたら忘れたみたいだけど その子の名前はフルネームでそらんじている 遠足においでよとかけた電話のメッセージが へんに焼きついてしまって離れてくれない
マホ
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