『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2002年10月30日(水) 髪を洗う、風の洗礼。


毎日は、洗いません。
髪を洗う手が、
洗われすぎて、バリア機能をうしなって、よくないから。

そうして、
ふやけて剥がれ落ちていく「余計な皮膚」が
まだ留まってほしい「元気な皮膚」までも
削ぎ落としてしまうから。


とるものもとりあえず
一週間に一度くらい
わたしは髪を、洗います。

黒い髪の毛。
でも、すこし茶色い。
のばしっぱなしの髪の毛。
肩下までのびていた、髪の毛。

わたしは体の中でたぶんいちばん唯一
この髪の毛だけが、好きなんじゃないだろうカナ
と、思うときがたびたびあります。

たとえば冬のひるまに
ふわふわと髪の毛を通っていくつめたいけどやわらかな風を
かんじるとき、なんか。

それが最近、失われつつあります。
もともと夏の終わりから秋にかけては
髪の毛が抜け易い時期では、あったのだけれども。
それにしても、ことしは。

洗い髪、
シャワーで流しながら
しめりけを、与えながら
お湯を通しながら

ごそり、ごそり、と、髪の毛が抜けていった。

なまじ、一本一本が、長めなものだから
お風呂から上がるころには、髪の毛の黒々としたかたまりが
半開きにしたお風呂のフタの上に固まって
存在を主張していました。





………こわいです。無性に、こわいです。



でも。


もしもこのまま抜け続けて
脱毛症とかになってしまったとしても
そうしたら
これからは冬だし
帽子だってわたしの毎日では定番のものだし
(帽子がないと今一歩の安心が出なくて外に出られないのです)
いっそ、なくなっちゃったなら、そのときは
ショートのかつらでもかぶっちゃって
何年ぶりかのショートカットやら茶色い髪の毛を
楽しんだりしてもいいじゃないか、と
お風呂のなかでお湯をちゃぷちゃぷさせながら考えていました。
洗い髪は、あきらかに後頭部のあたりが以前より頼りないボリュームで
薄くなっていること、ひしひし感じられて
不安におもった言った、、、、だけど。

湯上りにみつめた鏡の中の顔は
例によって
機能スキンケアをさぼってしまた代償としての、だんだらに炎症を起こしかけた
白と赤とのコンストラストの激しい顔色になっていた。
覚悟していたからあまりショックじゃなかった。
そうして、ひどくなりかけの定番の
右の眉毛がほとんど抜け落ちていて、こわかった。

また、日ごろはつかわないアイライナーなどにお世話になって
すっぴんの素肌の上に、ポイントメイクだけをすませて
ごまかしながら暮らしていようかなと思う。
わたしの眉毛がどうなろうか、知ったことではないかも知れないけど
でも、それでも。
やさしい職場の職員さんたちは、色々と気に掛けてくれるから。
それから、ロリータになりたくて、ぴちっとそろえた
ぱっつんな前髪と帽子とでうまいことかくして
胸をはって、萎縮しないで、誰かに会いににいけたらいい。


ただ、ごっそりと抜ける髪の毛をみていると
なんだかとても、怖くなります。

わたしはどこまでいくんだろうと。


でも、いつかまた、のびるよね。
きちんとした生活をして
ごはんを頑張って食べて……
頑張りすぎてオナカを壊さないように気をつけていたら
きっと、また、
冬のつめたい空気に触れて冷えていく
ふわふわと波打つ髪の毛を、わたしはきっと
いつか、取り戻せるよね。


……そう思えて、それに疑いを持たないように、ひっそりと暮らしている、
今日の一日。

明日から少し、あしたがんばって
一種躁状態だったときに決めてしまった
学祭のことを、がんばってみようと思います。

いいえ、がんばらなければならないと、思います。


あたらしいジェーンマープルの服に袖を通して
編み上げのスカートを、きっちりと締め上げて
あの、なつかしいフィット感のなかで
わたしは

きっとだいじょうぶ、

そう言い聞かせながら
夜を生きています。



まなほ


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