戦争の終わり、 サイパン島の崖の上から 次々に身を投げた女たち。
美徳やら義理やら体裁やら 何やら。 火だの男だのに追いつめられて。
とばなければならないからとびこんだ。 ゆき場のないゆき場所。 (崖はいつも女をまっさかさまにする)
それがねぇ まだ一人も海にとどかないのだ。 十五年もたつというのに どうしたんだろう。 あの、 女。
(詩集「表札など」から/1968)
中学校の教科書に載っていたと記憶しています。
非常に失礼ながら、当時の担当教諭の力量不足と、 生徒の理解不足という二重の不幸により、 (この「生徒」とは、私だけではない気がします) 「解説された額面どおりにしか理解できない詩」ですが、 いまだに何か、物すごく損をしている気にさせられます。
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