土曜日生まれは腰痛持ち

2005年08月26日(金) DVD「good day house」鑑賞

小林賢太郎プロデュース♯1「good day house」

cast
カタクリ工務店…片桐 仁
(1階)
カフェマスター…犬飼若浩
マスターの妹タミコ…森谷ふみ
(2階)
お受験塾塾長…小松和重
マサ(講師)…西田征史
サオトメ(講師候補)…野村知広
(3階)
アーチスト?…小林賢太郎
(4階)
“good day house”オーナー夫妻…室岡悟&平田敦子


KKP公演第一作は、
4階建て・エレベーター無の
雑居ビル“good day house”の店子と大家、
そして内装のためにやってくる工務店の男による、
楽しくて、間抜けで、変で、微笑ましい物語でした。
 
the1st Floor
カフェ「ボン・ボヤージュ」を開き、
おしゃれで国際派のセレブが集まる空間に
……なったらいいなあと夢見て、
「ひとりカフェごっこ」に興じる男(犬飼)と、
それを呆れつつも見守る妹タミコ(森谷)。
そこに、改装を依頼されたカタクリ工務店
(片桐。「以下「内装屋さん」または「片桐さん」)が来て、
男のたまげた数々の要求を聞いて、
口に含んでいたミネラルウォーターを噴き出しつつ、
客の入るカフェをつくれるように、
見当違いのアドバイスをしますが……。

「きまじめなパティシエ」「きまじめな編集者」
「きまじめな図書館職員」と、
#2~#4で、きまじめキャラを貫いている犬飼さんが、
この記念すべき第1作目では、
ややスノビッシュだけれど憎めない、
そして、どこか底知れなさを感じるヘンな男を
好演していました。
森谷さんとの息もぴったりです。
カフェ・飲食店に限らず、
(かなり趣味に走った)自分の店を持ちたい、と
一度でも考えたことのある方ならば、
マスターを他人とは思えないのではないでしょうか。


the 2nd Floor
小学校のお受験塾が新装開校予定の2階では、
塾長(小松)、柄悪いけど講師のマサ(西田)、
そして、マサに街でスカウトされてきた
新人講師候補のサオトメ(野村)が、
面接試験のシミュレーションをしているところに、
内装屋さんが見積もりにやってきます。
塾長ら3人のやりとりを聞いて勘違いし、
幼児誘拐の現場だと思ってしまう内装さん。
あの手この手で必死に阻止しようとしますが、
しまいには、「僕も金が欲しいから仲間に入る」と言い出し…

アンジャッシュのコントにありそうなシチュエーションですが、
もちろん話の展開上、誤解を解かないままでは終わりません。
塾長が内装屋さんの誤解を解こうとするくだりが笑えます。
ヘアスタイルといい、シャツの趣味といい、
チンピラにしか見えないマサが演ずる「5歳児」はお見事!
全国の4~6歳児を持つ親が、
「うちの子がモデルか?」と思っちゃいそうな
「あるあるある」な話し方がすばらしいと思いました。
やっぱり西やんは、何やってもうまい。
小松さんの、どこかギョーカイ人っぽいノリも、
妙に安定していて、安心して見ていられました。
「豊かな発想、に見える発想」は、今やうちの流行語です。


the 3rd Floor
翌日個展を開催する予定のアーチスト(小林)。
が、本人は惰眠をむさぼり、ただっ広い空間には、
ブルーのシートと、
何も描いていない大きなキャンバスが数枚あるだけです。
内装の依頼がなかったのを忘れ、
たまたま3階も覗いた内装屋さんはすぐに帰ろうとしますが、
その状況を捨て置けず、
急遽、やる気のない男にアート指南を始めます。
(よくよく首を突っ込むのが好きな人だ)

小林×片桐だけのやりとりということで、
通常のラーメンズのコントに一番近いので、
これが一番見やすいという方もいるかもしれません。
「性の解放」をテーマに絵を描かせるため、
片桐さんが次々繰り出すエロ小説語りを、
体育座りして聞く小林さんがおかしかったです。
片桐さんの、「見る側に回んなよ!」というツッコミもgood。


the 4th Floor
「good day house」のオーナー夫婦の住居。
オーナー(室岡)はいわゆる帰国子女で、日本語があやふや。
しっかり者で威圧的な妻(平田)をこよなく愛しており、
「君は僕の嗜好品(覚えたばかりの言葉なので、使ってみたい…らしい)だ」と
言ってはばかりません。
どうやら日本文化をどこかで間違えて吹き込まれたようで、
毎朝店子と「朝の会」を開き、体操をし、「ビル訓」の唱和をさせようと
目論んでいます。
その説明のために集められた1・2階の間借り人と、
飛び込むように入ってきたアーチスト、そして内装屋さん。

まとまりのよいオムニバス映画のオチという風情です。
前半の笑いどころは、通常のラーメンズのコントを
室岡&平田夫妻が代わって演じているような台詞の数々でしょう。
(室岡=片桐、平田=小林、と感じました)
とにかく、室岡さんのキャラクターが抜群に立っています。
店子さんたちが続々入ってきてからの後半の群像劇も
にぎやかで楽しく、
あったかい気持ちでオチを迎えられました。


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