土曜日生まれは腰痛持ち

2004年11月13日(土) 泣きたい夜の枕元

最近、映画はさっぱり見る時間がありませんが、
以前に読んで(何度も)涙したまんがや小説を読んで、
以前読んだときと同じシーンで泣いております。

そういうときに役立つのが、次の作品群です。

自虐の詩(業田良家)
知る人ぞ知る、のカルトな名作ですが、
現在は、竹書房文庫で手に入りやすいでしょう。
(他の書店はいざ知らず、
ヴィレッジ・ヴァンガードでは、
しばしば平積みになっています)
母親に捨てられ、
のんだくれで勤労意欲のない父親も
子育てらしい子育てをせず、
辛い少女時代を送った幸江(ゆきえ)が
「人生の意味」をつかむまでを
丹念に描いた……傑作ギャグです。
特に下巻のクライマックスは、辛抱たまりません。

われもこう(草野誼)
集英社YOUコミックス「ガレージ・ママ」1巻所収
小さな田舎町で、
高校時代に憧れていた男性と結婚し、
長患いだった姑を見取った後、
食料品店を切り盛りする健気な若妻の悩みを
じれったくなるほどいとおしい調子で描いています。
「YOU」に不定期連載中の「かんかん橋をわたって」は
ほとんどSFの様相を呈してきましたが、
それはともかく、この草野さんという方は、
取るに足らない田舎町を描くのが、本当にお上手です。
ワレモコウ(吾木香・吾亦紅)
バラ科・花言葉は「愛慕・物思い・変化」など
高浜虚子が、その控え目さを詠んだほどに地味で目立たない花ですが、
この名前の響きが、作品の中では重要ポイントになっていました。


終業式(姫野カオルコ)
角川文庫から。
70年代の地方都市の高校生の日常生活から始まって、
ざっと20年弱の、ありとあらゆる人々の動向や交流を
手紙・メモ・FAXの内容だけで綴っていく作品。
途中で書くのを中断したり、
投函されなかったりした手紙の中にも
ぎっしりとドラマが詰まっていました。
発表があと10年遅かったら、
当然のようにメールでのやりとりが中心ということに
なっていたのでしょうか。
「お気に入りのキャラクターの便箋で“おてまみ”」云々を
だらだらと書く女子大生のうっとうしさなど、
リアルさがたまりません。
美しくしっかりものの翻訳家に、
うんと年下のマジシャンが手紙でプロポーズするくだりが
どうやら自分のツボらしく、
いつも目の掃除をさせてもらっています。


 < 過去  INDEX  未来 >


ユリノキマリ [MAIL] [Saturday's Child] <