朝、いつも通り高速道路を走っていた。
いつも通り、制限速度を４０キロオーバーで。

いつも通りの朝の情景。


前方にパトカーが走っているのが見えた。
覆面ではなく、普通の あの派手な白黒のパトカーが。
パトカーは制限速度ピッタリで走っていた。
当然にすぐに追いついたのだが、俺は追い越すことも出来ないので
車の速度を落とし、パトカーの斜め後方を並走する形をとった。
出口まではまだ遠いな・・・と思いつつ。

朝、制限速度を守って走ってる車などほとんどいない。
次第に俺とパトカーの後方に車の群れが出来始めた。
皆きっとイライラしているに違いない。
しかし、それが仕方ないこともわかっていることだろう。


すると、一台の車が俺の車のすぐ後ろまで接近してきた。
見るからに アホな若造が乗るような車だ。
バックミラーで運転手を確認する。

ああ、間違いなくアホだ。


それにしても車間距離が狭い・・・
まるで俺の車を煽（あお）っているかのようだ。
最初は気にせずにいたのだが、ずっと車間距離が狭いというのは
結構なストレスになるらしく、俺はだんだん腹が立ってきた。

というわけで、俺は車線変更をし、彼の車の前を開けてやった。
そしてこう怒鳴った。

「抜かせるもんなら抜かしてみろ！ボケ！！！」

もちろん、窓も開けず怒鳴ったので、当然に相手には聞こえていない。
よわよわ。

さて、その若者は・・・
な、なんと本当に俺の車を抜かしたのであった。
しかも・・・あろうことか、パトカーをも抜かして行ってしまった。
（一瞬のためらいみたいなものは感じたけど。速度落としたし）

こ、こいつ・・・マジっすか？！
そう思った瞬間だった。

パトカーは ウー とサイレンを鳴らし、その彼の車を猛追した。
そしてその彼はあっさりと捕まった。


ア、アホだ・・・
アホなのは見ればわかるが、ここまでのアホとは・・・

彼は一体何がしたかったのだろうか？
罰金を払いたかったのだろうか？

よっ　金持ちっ　←違う