mattinism is machiavellism

PRESENTED BY matty.T


2002年07月04日(木) パン工房『カモフラージュ』第2話

「いや、それがマジで可愛いのよ」
S幌市の大学に通う3年生田所優矢が大学生協3階の学食で昼食を食べている。
共学の大学だが女性とが多い大学だ。
ここの学食も多くの女性でうめつくされている。
男性の姿が無いのではないかというくらい女性でゴッタ返している。




ここの大学に入学して以来主にラーメン等の麺類に偏っていた昼食も
1週間前にパン工房『カモフラージュ』で市川芳枝に会ってから麺類には目が行かず生協1階でパンを購入して3階の学食で食べるということがすっかり習慣になってしまった。
ピーナッツクリームが挟んであるサンドイッチ、ピリ辛ピザ風味のパン、そして生協で半額になっているお茶。
生協のパン搬入によって優矢が食べるパンの種類は少し変わってくるがなるべく安くなるようにパンを選んでいるのだ。



「マジかよ。でもオマエの言う可愛いってのは当てにならんからな」
カツ丼を食べる手を休めて仙道正人が言う。
正人は優矢が大学に入ってからできた友達の1人である。
同じ野球好きという事から仲が良くなった。
正人と会ったのは久しぶりだ。
同じ大学の同じ学部だか正人は3年生になってから少しサボる事を覚えた。
手を抜くとこは抜いてやる時はやって最後にうまくいけばいい。
これが正人の口癖になっていた。
偶然、大学の掲示板前で正人に会った。
掲示板で何か授業が休講になっていないかをチェックしてたのだという。
大げさだが再会を祝ってと正人が言ったので優矢がそれについてきたといった感じだ。
優矢は芳枝に会ったことを興奮気味に正人に報告しているのだ。
「で、その子にどこで会ったのよ?」
「なんだよ、気になんのか?」
「可愛いと聞けば見てみたいもんだろ」
「さっき、オレの可愛いは当てにならんって・・・」
「たまあに当たることがあるんだよ」正人がカツ丼をかけこむ。
優矢がお茶をすする。「うるさいよ」
「ほら、こないだのスタバの店員。オレが可愛いって言ったらオマエの眼がこんなんになってたじゃん」正人が箸を置いて手で目を大きく開いてみせた。
「そんな顔してたっけ?」
「してたしてた」またカツ丼に目を向ける。
「そうかなあ」優矢もパンを頬張る。
「話を戻すけどその子にはどこであったのよ」
「あ、ああ。『カモフラージュ』って知ってる?」
「おー。色々支店を出してんだろ。オレんちの近くにあるぜ」
「いや、その支店じゃないよ」優矢が苦笑いを浮かべる。「オレんちから少し遠いんだけどな。本通2丁目から中通に入ったとこにあるのよ」
「遠いなあ!なんでそんなとこに?」
「うちじゃ前っからそのパン屋の常連なのよ」
「ふうん。どこが可愛いのよ」
「どこってったって全部だよ」
「それじゃわかんねーだろ」
「まず背が小さい」
「はじまったよ。また背が小さい子か。オマエはそればっかだな」正人が優也をバカにする。空になったどんぶりを置いた。
「うるさいよ。年はオレ等くらいで、あと肌が白くてさ、仕草がまた可愛いんだこれが」
「ほうほう。仕草がかわいいのかあ」
正人は女性が見せる小さな仕草に弱いとこがある。
「顔はどんなんよ?誰かに似てるとか?」正人は少し興奮気味で優矢に訊ねる。
「ん〜。なんだろな、アノ顔は。。。」
「何かタレントに似てるとかってあるだろ?」
「ん〜。わかんねーよ」優矢がパンが入ってた紙袋から当たり付きの飴玉を取り出して口に含んだ。くじははずれだった。
「ぉ。また買いやがったな」
「いる?」
「おう」優矢が正人に飴玉を1つ渡す。正人が飴玉の袋を破り飴玉を頬張る。「またはずれだよ。当たりってあるのかねえ」
「どーだろな。オレも当たったこと無いし」
「あんなに買ってるのにか?」
「数はカンケーねーよ。こーいったのは全て運だからな」優矢は3年生になってからこの飴玉を買い始めたがまだ当たったことがなかった。
「へえ、そーですか」正人が顎を突き出す。
「最近見ないんだよね」
「あ、その子にか?」
「こないだの日曜日に会ったんだけどさ。それから月曜日も火曜日も行ったけどその子はいなかったし」
「おいおい。やべーことやってるな」
「そーじゃねーだろ」優矢がかぶりを振る。
「ジョーダンだよ」
「日曜日だけなのかなあ」
「週イチのバイトなんて成立すんのか?」
「店に行く時間が悪いのかなあ」
「困ったさんだね、ちみも」
「ふん」優矢が鼻を1つ鳴らした。
窓から外を眺める。
7月に入り北海道もそろそろ夏模様だ。
木々の葉は太陽の光でギラギラを輝き小さい大学の中庭にも緑がギッシリ茂っている。
1つ風邪が吹いて緑がそよいだ気がした。
今日も暑いなあ。Tシャツ一枚で正解だったな。
「そろそろ行くか?」正人が飴玉を転がす。
「ああ」優矢の口には既に飴玉がない。優矢は飴を舐めずに噛んでしまう。




どんぶりが乗ったトレイを下げ階段を下りる。
タタンタタン、タタンタタン。2人ともスキップをする感じで階段を下りていく。
正面玄関の前。窓越しに見る陽射しより幾分か強いように思えた。
目を細めて前を見る。
しかしすぐに優矢の眼が開く。


「あ!」優矢の顔が一気に緩む。
「ん、何?」
「アノ子だ!」
「あ゙?どこよ?」
「女が二人で歩いてて右っ側の子だよ!」
「ん、どの子よ?」正人の目がしきりに動く。
「だから、あのグレイの鞄を持った・・・」
「ぉ、わかった!かわいいじゃん」

優矢はそれには答えず眼はその子を追っている。
市川芳枝だった。
友達を2人でこっちに歩いている。
優矢の胸の鼓動が早くなる。
こ、声をかけようかな。
なんでやねん。出来るわけないじゃん。1回会っただけだし。
そんなことを思っているうちに芳枝は優矢に気づくことなく生協の中に入っていく。
「かわいいな。たまあにが来たな!」その正人の言葉も優也の耳には届かなかった。
き、気づいたかな。
ぃゃ、気づいてないだろうな。
気づいてたらきっと声をかけてくれるはず。
ってそれってオレの妄想じゃん。
「同じ大学かよ」
「いや〜、びびったよ」
「なんで今まで気づかなかったんだろ」
「大学は広いからな」
「でもよ、あんな可愛い子だぜ!」まだ優矢は興奮している。
「いや、そりゃそーだろうけどよ」まだ正人は飴玉を転がしている。
「まいったなあ」
「なにがだよ」ふたりして笑った。
いやいや、世界は狭いとはよく言ったもんだ。
まさかこんな近くにいたなんて。
なんで気づかなかったんだろう。
と考えると大学って広いんだな。
ははは、自分で何言ってんだろ。
優矢がニヤける。
「おい、授業に遅れるぜ」ようやく飴玉を舐め終わった正人が言う。
「おまえが言えたセリフかよ。サボってばっかのくせに」
「出席取るだろうが」
「何回休んでんだよ?」
「今日休んだら3回目だ」
「まだ大丈夫じゃん」
「少し予備として休みはとっておかないとな」
「ばかだねえ」
3講目は空き講なんだろうな。
芳枝の後をついて行きたい気もした。
でも出席があるしなあ。
くそお。
でもなんで気づかなかったかね。
きっと1年生なんだろうな。
2,3年生だったら気づくはずだし。
サークルは何に入ってんだろう。
気になるぜ。
よし、今日もまた『カモフラージュ』に行こう。
今日こそは会えるかもしれない。
早く授業終わんないかな。


「おい、行くゼ」
優矢が正人の顔をみる「お、おう」
もう心はウキウキだった。
紙袋からまた飴玉を1つ取り出した。
口に含む。
飴玉の甘さが口の中に広がった。
包み紙の中にははっきりとはずれがみえた。














































とっても眠いです。
あ!っと思ってパン工房『カモフラージュ』の第2話を創ってみました。
頭が重いせいか文章はあまりうまくありませんな(w。
手が震えたきたぜ!


また今度書きます。





よし、寝よう!


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