正反対の性格の二人の 数少ない共通点が ジャスミン茶を好んで飲むことだった。 ふたりでいるときには いつも口にしていたし、 最後に会った日も 別れる直前にコンビニでペットボトル入りのものを買って 二人で回し飲みしていた。 その最後の一本がなんとなく捨てられず、 部屋の片隅に置いてある。 時間が経つにつれて きれいだった薄い黄金色の液体は どんどん黒ずんでいった。 だけど、一定期間を越えると それ以上色が変化することもなく 下の方に澱を残すのみとなった。 それはまるで、あたし自身。 空っぽの中身に、少しだけ残った彼への想い。 それがどんどん、黒く、汚く、腐っていって。 心の奥底に残っている。 たぶん、大した変化もないまま、ずっと、そこに。 捨てられない。 どうしても、捨てることが出来ない。 やっぱり、どうしようもない。
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