「夢の中で会えたら」 なんてよく言うけれど 夢の中で会えば会うほど 辛くなるのが分かっているから あたしは毎晩 「どうか貴方が夢に出てきませんように」 と願いながら眠るのです。 そんな毎日を繰り返しているうちに あたしは徐々に貴方の顔を忘れてきています。 それなのに。 貴方の顔のシルエットだけが頭にこびりついて消えません。 貴方の目が二重だったか、 唇は薄かったか、 睫は長かったか、 なんて細かい事はとっくのとうに忘れているのに。 あたしの意に反して 貴方の影は毎晩あたしに微笑みかけるのです。 おかしいですね。 だから、あたしは、 貴方のことを考えるのはやめにして 別の殿方と新しい恋でもしてみることにします。 それがたとえただの遊戯だったとしても。 貴方に毎晩微笑みかけられるよりは よっぽど幸せで楽しいことだと思うのです。 若いうちに何でも経験してみましょうね。
|