ぼんやり日記
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2002年01月31日(木) ランゲル〜南の島〜ハンス島

今朝のNHKの関西ローカルニュースで、京大の研究グループが
ランゲルハンス島を人工的に作ることに成功し、
糖尿病のラットに注入したところ血糖値が下がった
というのを聞いた。
その作られたランゲルハンス島
(みたいなもの、というのが正しいのか)
からインスリンのようなものが分泌されたとのこと。
次女は「“けっとうち”っていうたね」とTV画面を見た。
私は「病気を治すために、みんな頑張ってくれてるんやって」
と説明した。

遺伝子治療。ランゲルハンス島を作る。
インスリンを分泌する細胞(ベータ細胞)を作る。
奇跡のような話。

新聞、雑誌の広告や怪しげなHPの宣伝文句ではなく、
大学の研究所で行われた実験。

次女がこの病気になるまで、膵臓の働きも形も
体のどこにあるのかも知らなかった。
みぞおちの辺りの後ろ、背骨の手前にあるらしい。
その膵臓にあるランゲルハンス島。
私は何度も頭の中で、この島を想像した。

何度想像しても南の島の、のんびりとした風景しか浮かばない。
島にはくっきり鮮やかな緑があふれ、赤い大きな鳥が
果物をついばんでいる。
この島の中にあるベータ細胞。
鳥の食べているのがベータ細胞かもしれない。
「食べないでね、それが無くなるとうちの子が困るの」
鳥は鋭いとがったくちばしで、ベータ細胞を突き刺す。
さんざん食べ散らかした後、赤い鳥はどこかへ行ってしまう。
ベータ細胞は再生されない。
二度とランゲルハンス島で作られない。

そんな事を想像しながら、でも不思議と赤い鳥に怒りを感じていない。
彼女が病気になったことに理不尽さを感じない。
驚きと不安と日々の苛立ちはあるけれど。

娘の島にあった果実、ベータ細胞がもう一度、
彼女のもとにたくさんできますように。
馬鹿だと思われようが、毎日そう祈っている。


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