カエルと、ナマコと、水銀と
n.446



 メークフォンの角笛

=メークフォンの角笛=

それをそこに置いたとき、赤と黒の夕暮れ。サバンナに沈む奇跡の夜空を見上げた二つの瞳。弧を描き流れ落ちる星のように。左薬指に瞬く幸せのように。パンの耳をついばむ鳥たち。海の香りがしてくる。蓄音機についたラッパ型の増音装置が、潮騒に吹かれた風を拾って、幾年もの荒波に洗われた木製のダイニング。香り高き、珈琲が沿えられている。
君は右手の二指でリズムを打つ。そこからは海が見えるよ。窓際の棚のそこに、なにかそれが置かれていたようす。
 そのおかげで、浜辺で遊ぶ小さな子どもたちが見える。



2008年07月13日(日)
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