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※ネタバレなしで感じたことだけを書くつもりですが、ネタバレは絶対に嫌! とおっしゃる方は、念のためご遠慮くださいませ。
何せワイドショーで初めて知った紀里谷さんの穏やかな人柄と、宇多田ヒカルちゃんの主題歌に惹かれて「観たいかも!」と突然思ったので(汗)、映画誌や公式サイトなどでの予備知識は一切ない状態でいきなり劇場へ行きました。 アニメ版の記憶もないため、登場人物も知らなければストーリーについても「たぶん大きな戦争が終わった後の話」だろう…という程度。恥を忍んでぶっちゃけますと、唯一知っている主人公のキャシャーンですら外人さんだと思っていたという…(汗)。 しかも、「好評につき」ただ今パンフレットが品切れ中…と言われてしまったので、このまま公式サイトなども見ずに感じたままを書いてゆこうと思います。
まず、映像がめちゃくちゃカッコイイです。監督のご専門分野なので当然なんですが、映像の迫力や美しさと音楽やストーリー展開がぴったり重なっていて、作り物の世界にどっぷり浸れる快感を存分に味わえたのが幸せv 私は、CGなどを駆使して作られた実写に限りなく近いアニメ…というのがどうも苦手なのですが、逆は全然アリだな、とわかったことも自分としては嬉しい発見。生身の人間がアニメっぽい動き(ぐるぐる旋回しながら敵にぶち当たっていったり、大ジャンプを繰り返して移動するとか)をすると、フツウはどうしたってぎこちなくて不自然で、カッコイイどころか逆に笑いを誘ってしまいがちなのに、この作品に出てくるキャラクターたちはホントにカッコイイのです。 衣装だって、アニメを実写化した場合だとコスプレショーのように見えそうなのに、そんなふうには全く見えませんでした。風景の中にそのキャラクターが立っていることに違和感のない空間が完璧に作り上げられているのかも。
単色の映像も鮮やかなカラーも、うっとりするほどキレイです。また小道具がいいんですよね。SFなのに、黒電話がジリジリと騒がしい音で鳴っていたり、衣装や車がやけにクラシックなデザインだったり。 街の様子を見ていても、すごく新しいようでもあり、昭和の戦争の頃のようでもあり、はたまたアジアのどこかの国のようでもあり…と、なんとも不思議な世界でした。おそらくこの「懐かしい」と感じる部分を頼りにして、観る者はこの作品の世界にすんなり入り込めたのだと思います。どのシーンが好きとか良かったとか、絞れないほど印象的な映像の連続…。 ド素人には、「スゴイ」「カッコイイ」「キレイ」としか言いようのないそれらの映像がどうやって作られたのか、メイキングビデオが出たらぜひ観てみたいです。
この作品の映画化を決められたとき、監督に現在の世界情勢が予測できたはずはないのに、ここに描かれている主人公の苦悩や葛藤が今の自分たちにも(たとえば一年前、五年前よりも)リアルに伝わってくることが、…怖かった。 発信できる立場にあって、アピールしうるパワーを持っていて、影響力のある人がこういう作品を作るということに、大きな意味を感じます。 たくさんの血が流れ、多くの命が一瞬に奪われ、思わず眉間にしわを寄せてしまうような場面もありましたが、それでも観終えたとき胸に残る思いは絶望ではなくて。かと言って、前向きに歩き出すような希望が描かれているわけでもないのですが。 ずっとずっと長い年月、常に世界のどこかで争いは繰り返されていて。続けてゆくうちに、何のために戦うのか見失ってしまう場合も少なくないんじゃないか…。ふと、そんなことを考えました。
世界規模の争いでなく、たとえば一個人の中に起こる問題であってもそうかもしれませんが。目の前に立ちはだかる高い壁を見上げ、そこにぶつかってしまった不運を嘆いてもどうしようもない。本当にその人が不幸になるのは、そこで立ち止まってしまうことなんじゃないのかな…ということを、映画を観ながら今日あらためて強く確信しました。 私事ですが、何かに行き詰まったとき、某シンジくんの「逃げちゃダメだ」というセリフがいつも頭の中をぐるぐるします(苦笑)。 具体的な何かを積極的にやらなくてもいい。今、この場から逃げないこと。目に映るものから目をそらせないこと。…そこから、始まるのかもしれない。…そんなことも考えました。 この作品を中学生や高校生が学校の授業で観たら、一体どんな感想が出てくるのか聞いてみたい気がします。そんな観られ方を、監督は望んでいらっしゃらないかもしれませんが。
実は、途中でちょっと流れについてゆけなくなりそうになって、「ああ、やっぱりあらすじくらいは読んでおくべきだった…」と内心焦ったときがあったのですが(汗)、最後まで観るとそういった疑問点がちゃんと明かされてすっきりしました。後から振り返ると、登場人物どうしの関わり方がそれぞれにとてもデリケートなんですが、最後には観る者を「ああ、そういうこと…」とすんなり納得させてくれるという意味で、親切なつくりになっていると思います。 SFやファンタジー作品の場合、設定を把握するだけでもひと苦労…なんてこともありますが、その点では実に入りやすくて居心地のいい空間でした。 SFで、戦闘シーンが多くて、アニメ作品が原作…ということから、マニア向けの作品だろうと思って敬遠される方もあるかもしれませんが、私のように予備知識が全くない人間でもこのとおり(笑)思いっきり楽しめましたので、「ちょっと気になってはいるんだけど…」と迷ってらっしゃる方には、「ぜひ!」とおすすめしたい作品です。
アニメ版を知らないので、映画を観ていて「やられた! 参った!」と思った設定や、胸にグッときたセリフの数々がアニメ版にもあったものか、それとも紀里谷さんオリジナルなのか、そこのところを判別できないのがじれったいです。 |
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