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『オアシス』 生田紗代 河出書房新社 - 2004年02月13日(金)

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『黒冷水』と文藝賞を同時受賞した作品である。
“文藝賞”という響きには本作の方がむしろピッタシかもしれない。
生田さんも若い世代の作家であるが、作風的には、芥川賞を受賞した金原ひとみさんと比べると正反対の“従来の純文学路線を貫いている”感が強いかな。

主人公は21才のフリーター芽衣子。OLの姉(パラサイト状態)と家事放棄した母親との3人家族。ちなみに父親は単身赴任中。
内容的には“自転車の盗難問題”や“お母さんの行方”など、少しハッキリしない部分もあるような気もし、理詰めで読むタイプの読者には少し物足りない読後感かもしれない。

でも文章はかなり読みやすく好感が持てる。
多感な年代の“等身大の偽りざる気持ちを綴った作品”と割り切って読めば心地よく響くかもしれない。
自分の母親と比較して読めたら感じ取れる物も大きいかもね。

「母のことは決して嫌いではない。この世で一番愛しているけど、この世で一番憎い。母親とはそういうものなんじゃないだろうか。」

個人的には、親子愛より兄弟愛(姉妹愛と言った方が適切かな)の方に焦点を置いてる所が特徴かなと思う。

ライトな感覚で読める純文学という点では評価したく思う。

評価6点。    
2004年16冊目 (新作13冊目)


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