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『バラガキ』 中場利一 講談社文庫 - 2003年11月24日(月)

元気のいい“バラガキ”こと土方歳三が楽しめます。
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本作は描かれた時期が池田屋事件までで、いわば、壬生浪士組が終焉し、新選組の上り詰めて行く姿がビビッドに描かれているのであるが、敢えて悲壮感漂うその後を省略したのは作者の持ち味が薄れるからなのだと思われます。

悪役(?)として登場する芹沢鴨に関する人物像やエピソードも満喫できるが、それぞれの隊士の強烈な個性を捉えすぎて強調しすぎてる点が、長所でもあり短所でもあるような気がした。

本作を読めば、作者が芹沢派一蹴に関わった土方歳三の際立った才覚の良さを訴えてることが読み取れます。
そう言えば、芹沢と一緒に亡くなったお梅、この物語で一番の悲劇の人ですよね。

土方さんお得意の(笑)、恋愛においては、お琴との別れ、千世との出会いがあります。
ちなみに千世は14歳です(苦笑)
文章も現代風でコミック感覚で青春小説として楽しめる点は評価したいと思う。

ただ、土方ファンには良いと思いますが、新選組の他の著作を多数読まれた方にはどうしても重厚さや信憑性においては劣る為に物足りないと感じるような気がします。

もちろん、五稜郭までを描いた『燃えよ剣』のようなドラマチックな作品ではありません。
やはり歴史小説というより青春小説だと思って楽しむべきかな。

女性ファンが多い沖田総司との兄弟のような仲の良さも印象的で、ふたりの会話がユーモラスなのも印象的でした。

文庫本の解説は重松清さんが担当されてます。

評価6点


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