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『クレオパトラの夢』 恩田陸 双葉社 - 2003年11月23日(日)

第1弾の『MAZE』は読む前にこちらを先に読んでみが、そんなに違和感なく読めた。
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本作は、恩田さんの良い面と悪い面とが両方表れた作品と言えそうです。
読み始めて、何故市なのかという疑問が次第に解き明かされるのが読者にとっては嬉しい限りであるが、なんと言っても主要登場人物4人の騙し騙されの会話が楽しめる点が読者を釘付けにするのである。
恩田さんの文章って変幻自在でまさに“言葉の魔術師”って感じなのですが、それだけ吸引力が強い作家さんなんだと思います。
恩田さんの魅力って“読んでいるだけで楽しい夢心地な気分にさせてくれる”点だと思う。他の作家では味わえないようなレベルにおいて・・・
本文中に出てくる冷凍みかんの話なんかは本当に背筋がゾクゾクするような話で圧倒される。

逆にマイナス点だが、オカマチックな主人公恵弥が個人的にはあんまり共感できなかった点をあげたい。
きっとディープなファンの方には受けがいいのでしょうがね(苦笑)
あと、恩田作品によく言われてるラストのあっけない幕切れなどを考え合わせると、タイトルから彷彿させるスケール感はなかったような気がします。
“お洒落なライトミステリー”として割り切って読めたら合格点なんでしょうが、ファンの期待が大きいだけにちょっと苦しいかもしれませんね。

個人的に同タイプの作品の『木曜組曲』の方が奥行きが深くて良かったような気がします。
もう少し長い作品の方が力を発揮できるのでしょうね、きっと・・・
枚数が足りなかったかな(苦笑)

評価7点。


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