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『午前三時のルースター』 垣根涼介 文春文庫 - 2003年08月12日(火)

読ませどころの多い小説である。
少年の成長物語としても楽しめるし、一級のサスペンスミステリーとしても楽しめる。

私はちょっと視点を変えて、父親の失踪の動機に主眼を置いて読んでみた。
結構辛いもので『日本というのはこんなに魅力のなくなった国なんだろうか?』と痛感!
ラストの感動シーン(これは読んでのお楽しみということで・・)よりも胸が締めつけられた。

全体を通して長瀬、少年、父親、祖父、それぞれの境遇の違いが考えや人生観をここまで変えてしまうのかと驚愕しました。

細部にわたりちょっと物足りない面もある(例えば父親と少年との再会シーン)が、テンポ良く読めるのは間違いないところ。
あと東南アジアの国の情勢もよくわかって勉強にもなりました。

現地人と長瀬や少年との心の触れあいも本作の楽しみのひとつでしょう。
あと、古いバイクや車のエンジンなどに関するこだわりもこの作家の特徴かもしれませんね。
デビュー作としては合格点をあげたいと思います。なお本作はサントリーミステリー大賞受賞作です。

評価8点。


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