『分岐点』 古処誠二 双葉社 - 2003年07月05日(土) 本作品は戦争をテーマとしており、終戦間際の日本の実態を克明に綴った佳作である。 本土決戦が迫っていたこの時期、中学生までもが動員されてたのは驚愕の事実として受け止めなければならない。 誰もが日本の敗戦をわかりつつも口に出す事は決してしないというか出来ない時代であった。 読みどころは国の為ということで頑張っていた伍長クラスの人がふと本音漏らしたりそう言った行動に出るシーンかな。 そこに少し人間らしさを感じ取る事も出来る。 それとなんといっても対馬智と成瀬憲之とのコントラストが見事。 でも2人ともとても13歳には思えない。 本作に出てくる登場人物はみな、ある種現代人からみたら狂気じみていることは否定できない。 しかしながらひとりとして一生懸命に生きていない人はいない。 とっても人間らしいのである。 視点的にいちばん現代人に近いのは片桐少尉だが、彼の心理面での苦悩は納得の行くものであった。 誰も彼らを攻めることは出来ない点に戦争の重みがズシリとのしかかってくる。 この点を強く認識出来ただけで読んだ価値があると言えよう。 かなり重い話ですがノンフィクション的なリアリティ溢れる作品です。 古処さん、初読みですが日本人の心を上手く描けてる点は素晴らしい。 殺人の動機がとっても切ないのでちょっと許しちゃいました。 ただ、文章はちょっと読みづらいかもしれませんので・・・ でも読んでる間だけでも皇国民になり切れると信じています(笑) きっと今の私たちのしあわせはこの人たちのおかげだと素直に感謝の気持ちを捧げたいと思います。 評価8点。 ...
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