『絶対泣かない』 山本文緒 角川文庫 - 2003年06月12日(木) お見合いをすれば、贅沢さえ言わなければ、こんな私でも結婚できるのではないか。そう私は思っていた。けれど、現実はアラスカの冬のように厳しかった。(「ものすごく見栄っぱり」より) 山本文緒は比喩表現のの天才だ。 思わず読みながらニヤリとさせられてそれがとっても心地よい。 本作は『ブラックティー』や『みんないってしまう』のように後ろ向きで変わった人物が登場してるわけではない。 どの話も普通に生きてる人の小さな悩みを活写している。 15人の登場人物、それぞれに共感できる。皆が前向きな姿勢を貫いて生きている。 ちょっと仕事で疲れたときに読んだら一服の清涼剤的に心を和ませてくれる1冊だといえそうです。 他の山本作品よりまなざしが優しいような気がする。 ただ、従来の辛辣で毒気のあるものを求めてる人にはちょっと不満が生じてもしかたないとは思った。 でも、話作りの上手さは天下一品ですよね。 女性が読まれたら“自分だけじゃない”って感じると思いますよ。 個人的なお気に入りは「ものすごく見栄っぱり」「愛でしょ、愛」「絶対、泣かない」 評価7点。 ...
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