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『室の梅 おろく医者覚え帖』 宇江佐真理 講談社 - 2003年05月31日(土)

宇江佐さん著作リスト《こちら》

奉行所検屍役・美馬正哲。身投げや殺し、首縊り…。屍の末期の無念を解き明かす彼を、ひとは「おろく医者」と呼ぶ。武器は、遠く紀州は華岡青洲に学んだ最新の医術!江戸の「法医学者」は恋女房、産婆のお杏とともに、八百八町の底に渦巻く愛憎に立ち向かう。人の生と死に触れる夫婦を描く傑作事件帖(文庫裏表紙より引用)

本当に作中で行われてる検死が行われてたのかちょっとよくわかりませんが『解体新書』の杉田玄白を登場させたりしてリアルさを増すように作ってるあたりはかなりのアイデア作品だと思います。設定上は『解体新書』が刊行された年に主人公が生まれたようになってます。
夫が人の“死”に立ち合う検死官、妻は“生”に立ち合う産婆いう対照的な設定は見事である。
内容としたら宇江佐さんの作品の中では最もミステリー色が強い作品となっている。
あと、夫婦小説としても楽しく読むことが出来る。

全4編からなるが2編目の「おろく早見帖」が1番の出来かな。
主人公の美馬正哲が麻酔手術勉強の為に紀伊の国に旅立ってるあいだに妻のお杏が代わりを勤めるシーンがいじらしくかつ微笑ましく感じられる。

お互いを思いやってるシーンが随所に散りばめられて、現代物では味わえないような心地よさがある作品といえるでしょう。
こういう2人を理想の夫婦っていうんでしょうね。

生死に関わる仕事をしてるにもかかわらず、子種に恵まれなかった二人の最後はどうなるのでしょうかね、読んでのお楽しみです(笑)

評価8点。



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