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『走らなあかん、夜明けまで』 大沢在昌 講談社文庫 - 2003年05月28日(水)

映画を観てるように一気に読ませてくれる作品です。
会話分が多く時代小説を続けて読んでる私にとってとっても読みやすい(笑)。

東京から出張で大阪に初めて来た主人公の坂田勇吉が、翌日の会議で必要なアタッシュケースを置き引きされたことによって巻き込まれた事件をハラハラドキドキの展開で一気に読ませてくれます。

何と言っても知らずに芽生えた真弓との愛情めいた友情がとっても良い感じです。
ちょっと大阪に関しては曲解されてる気もするが、テンポよく読めるから許容範囲内と言うことで・・・

主人公の坂田勇吉、新宿鮫の鮫島さんみたいなカッコよくありません。
きっと平凡なサラリーマンであるがゆえに読者自身を投影して読めるのでしょうね。

読ませどころは、初めはケースを取り戻すことばかり考えていた主人公がやがてケースなんかどうでもよくなり真弓を助ける事に必死になって行く過程が読者にも伝わってくる点に尽きるでしょう。

あと藤井寺球場や野茂投手が実名で出てきます。
10年前の作品ということで少し懐かしさを感じたりしましたね。

それにしても、わずか一夜でこんなにいろんな体験を出来るサラリーマンって彼ぐらいでしょうね。

続編は舞台が札幌みたいです。たまにはハードボイルドもいいなあと思った1冊でした。

評価8点。


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