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『タンノイのエジンバラ』 長島有 文藝春秋 - 2003年04月26日(土)

芥川賞作家の長島有さん初挑戦しました。
作品のテイスト的には同じ芥川賞作家の吉田修一さんと似ているような気がする。
長島さんの方が少しマイルドでユーモラスな文章かなあとは思いますが・・・
各編ともそれぞれのシチュエーションが個性的に作られています。
中でも繰り広げられる会話にクスッと笑っちゃいそうな掛け合いがあって感心しました。

全4編からなりますが、特に最後の「三十歳」は秀逸。
ピアノの講師をやめてパチンコ店で働く主人公なんですが、彼女の儚くて切ない恋を見事描いています。

全体的に見て、深く共感するとまではいかないが、安心して読める作品だと思います。
登場人物(というか主人公)がすべて一風変わった頼りないような感じがして、その分肩が凝りません。物語に入って行きやすいですね確かに・・・
読者があんまり好き嫌いなく読める点は“長嶋節”と呼ばせてもらいましょう(笑)

重松さんみたいに現実的じゃなくほんわかした小説です。たまに読むのにはいいかもしれませんね。若い方が読まれたらもっと共感できると思います。

評価7点


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