『いつでも夢を』 辻内智貴 光文社 - 2003年04月06日(日) とってもピュアな小説だ。サブタイトルの“TOKYOオトギバナシ”というタイトルもぴったしである。 適度にユーモラスな会話等を織り交ぜていて、とっても読みやすい。登場人物一人一人がいずれも憎めないキャラでそれぞれの特徴を上手く描写しています。 ラストの演出がなんといっても素晴らしい。全員のキャラを結集した場面だと思う。人によっては感動的、私は微笑ましく感じました。 今まで、心に重いものを背負って生きてきた主人公たちが最後に心を合わせて行く所がいいです。 辻内さんの優しい人生観が物語全体を支配している。読者にこう言う生き方をして欲しいと言う気持ちが伝わってきます。 その気持ちを端的に“人生は虹のようである”という言葉で表している。 あとは読み終えて読者がその言葉をどういうふうに判断するかを委ねているような気がしました。。 内容としては、謎めいていた洋子の過去が露わになっていく過程が興味津々で読めます。洋子もいいが、ヤクザものの龍治の存在がこの物語をとっても尊大なものにしているような気がする。彼の行動で涙した人は多いんじゃないかな(これから読まれる人も・・・) 少しジロー自身が物足りなく思われた方もいるかなあとは思いましたが・・・ なかなかこういう本を手に取る機会と言うのは少ないような気もしますが、是非手にとって欲しいと思います。ソフトカバーの装丁もとっても素敵だと言う事をつけくわえておきます。 読んだ後、物事を見るまなざしが変わる1冊と言えそうです。 評価8点。 ...
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