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コラム  出版不況と直木賞  - 2003年01月21日(火)

新聞社に投稿する予定です。
出版不況という言葉が使われて久しい。ちょうど今の季節と同じで底冷えのする昨今、百万部以上売れるベストセラーというのは本当に皆無に等しいらしい。

若者の活字離れや不景気のあおりを受けて、新刊の単行本の売れ行きがかなり鈍っており、2〜3ヶ月するとすぐに返品という現象がかなり目立っている。

ある作家のHPを見たところ、単行本の売れる目安は6000部らしい(もちろんベストセラー作家は別でしょうが)。1割が印税として、定価1500円の本だと90万円しか所得がないと言う計算となる。すごい生き残りの厳しい世界である。
一年間に何冊出版されれば普通のサラリーマンのように稼げるのでしょうか・・・

その一方、図書館の充実ぶりには目を見張るものがある。読みたい新刊がかなり早く読める。もちろん我々の税金から成り立ってるのだから、とっても有り難いことなのだが、作家さんにとっては死活問題であることは言うまでもない。

そういう私も年間100冊以上の本を読むが、そのうち新刊の単行本を買って読むのはごく1部である。作家さんには申し訳ない気持ちと少しでも買ってるので貢献してるんだと言う気持ちが入り混じっていて複雑極まりない。

先日、直木賞の発表があったが該当作品なしとういう残念な結果に終わった。ノミネートされてた作家さんはもちろんのこと、出版業界自体も痛手を被ったと思う。
ご存知のように、直木賞というのは最も権威のある賞であり、最も売上に直結する賞である。
例年、新直木賞作家という帯をつけて発表直後は本屋さんの店頭も賑わうし、新しい読書ファンをも導く恰好のイベントとなっている。

ある程度の選考基準というのがあるのもわからなくはないが、選考委員のみなさん、もっと世の中の流れを考慮して選考して貰えたらという憤りを感じた。

本を読むきっかけがその人の人生を変えることも十分あるのだから・・・


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