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『トワイライト』 重松清 文藝春秋 - 2002年12月25日(水)

重松さんの最新刊です。なんと今年(2003年)は6冊出ました(文庫オリジナル含む)

またまた現代の家族が持つ典型的な問題(ドメスティック・バイオレンスやリストラ)を上手く提起してくれていていつも驚かされます。
今回は日本の時代の流れ(人口減少による小学校の閉鎖等)を子供が大人に成長する変化と上手く照らし合わせて描いてます。

読まれる方の年齢によっても捉え方が違ってくるようにも思えますが、果たして万博等の時代背景を体験していない20歳台前半ぐらいの若者が、この小説を読んで共感を覚える事が出来るであろうかという危惧感も、いささか感じましたがどうでしょうか。
きっと、重松さんの作品を好きな若者は“人生の教科書”みたいな感覚で読んでいるのでしょうね・・・

それぞれの主要登場人物を昔のあだ名(のび太やジャイアン)と現在のギャップによって各人の変貌振りがより際立ってわかるように工夫がなされているが、特にジャイアンこと徹也は重松さんの大人の男性としては最低(といっていいでしょう)のキャラとして描かれています。

ラストにて、ふたたびタイムカプセルに埋める絵に手をつないで2人(名前は読んでのお楽しみという事で・・)が描かれてるシーンは熱くなるというよりもむしろ微笑ましく、読者の気持ちを重松さんが十分に予測してくれたような気がしました。
いつもながら登場人物すべての生き方を肯定してくれてるので安心して読めます。
あと千晶と愛美がとっても可哀想だけど冷静であるように感じ取れたことも付け加えておきたいです。
ただ、全体的に見て『流星ワゴン』みたいにインパクトが強い小説じゃないことも確かです。これは両方読まれた方は、そう思われるケースが多いような気がします。少し歯切れが悪いかなあという印象も少ししました。
どちらかといえば、じわ〜とあとでもう1度読み返したくなるような小説だと思います。

余談ですが、もし10年後、20年後にあけるタイムカプセルがあれば、私は是非重松さんの小説を入れたく思い本を閉じました。でもそれまでに読み返したくなるでしょうね(^O^)

評価 8点


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