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『椿山課長の七日間』 浅田次郎 朝日新聞社 - 2002年11月30日(土)

デパート勤務の椿山課長、ヤクザの親分の武田勇、小学生の根岸雄太。
それぞれ過労・人違い・交通事故と不慮の死を遂げて冥土に着くのだが、異議を申し立てて現世に3日間戻る事を認められる。必ず守らなければならない3つの約束事を胸に、各人のやり残したことや疑いを晴らす為に戻るのであるが・・・

とにかく、登場人物がすべて(脇役も含めて)、それぞれの持ち味が素晴らしく表現されていて一気に読ませてくれます。展開的には、予想だにしなかったことが次々と現われてきて目が離せません。思わぬところでいろんなことが繋がっていて、嵌って読んでしまいます。姿や性別を変えて戻ってると言う所も上手く趣向を凝らしてるなあと思います。
普通、主人公の椿山だけが目立ってしまうということが充分に考えられるが、3人とも同じぐらい目立っている。やはり“残された人々の幸せを祈って行動してる”ところが胸を打ちます。私は特に椿(椿山)と佐伯知子が一緒に酒を飲む場面が一番好きですが、読み手によって違ってくるとも思います(笑)
また、適度にギャグが入ってるところが浅田さんらしくリラックスさせてくれます。久々に浅田ワールドを堪能しました。純粋な気持ちで読むことによってより感動が深まります。
ハートウォーミングという生半可な形容じゃなくて“死を恐れなくさせてくれる”物語です。果たして約束を破るのは誰でしょうか。未読の方是非お読み下さい。

評価9点。 オススメ!


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