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『翼 cry for the moon』 村山由香 集英社文庫 - 2002年11月02日(土)

 ショート委員長おすすめの普及委員会の作品です。村山さんは初読みだったのですが、抱いてたイメージと全然違うスケールの大きな物語です。
 トラウマを持った主人公真冬(マフィ)がニューヨークで過酷な運命に会い、そしてアリゾナの地へ・・・ 人間的に成長して行く姿を描いた秀作です。
 なんといってもブルースのキャラクターがとっても良く、物語を盛り上げてます。同性として憧れる面が多々あります。真冬に関しても、トラウマを持っていても強く生きようと言う姿勢(弱い部分もありますが)には胸を打たれました。

 ラストは賛否両論あると思いますが、私は良かったと思います。ティムのためにも・・・
 その結末により、読者に勇気を湧かせてくれる作品に仕上がったと思います。

 運命は逆らえないけれど、人生は自分で切り開いて行かなければならないとこの作品は教えてくれました。
 舞台をアメリカにおいてるということで、恋愛だけじゃなく家族愛や人種問題、あるいは冒頭の幼児虐待などの多様なテーマを読者に投げかけてくれていて、考えさせられることが多かったです。特に、後半のアリゾナにおけるネイティブアメリカンに関することはとっても印象的で、この作品のレベルを1ランク上のものとしているような気がしました。

 タイトルのつけ方も秀逸です、理由は読んでのお楽しみということで・・・

評価 8点。


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