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動物園の いらいらしたゴリラでも ここまで落ち着きなくはあるまいというくらい 行ったり来たり 部屋をめぐったり おふとんにくるまって 妄想世界の奥深く シーンの切れ端を探しにもぐり、 拾い集めて よしっ! と、ネーム用紙に向かおうと 立ち上がった瞬間 しっかり立ち上がった身体とはうらはらに 頭の中は つまづいて転び、 せっかく 拾い集めたシーンのかけらを 取りこぼしてしまう今日この頃。
妄想世界の産物は どうしてこんなに脆いのでしょう。
毎回 毎回、 よく なんとか拾い集めて 形になってるものですわ。
とか 過去の自分に感心している暇もなく エロ漫画家 逮捕のニュースが!!
猥褻本を出版した、という名目で 漫画家まで『逮捕』は初めてのはず。
というより、先に販売差し止めとかが 来るはずではないの? お上はいったい 何がしたいのかしら。 描いてる漫画家達のモチベーションを 下げたいのかもしれませんが。 逮捕された漫画家さんは あまりにもお気の毒。 とても他人事と呑気に見てはいられませんわね。 業界自体のパワーも 当然 落っこちまくるでしょうし。
健全な市民のみなさまには あたくしのような人間の こういう意見は 泥棒同盟が、捕まった仲間に対して 「あいつは運が悪かったんだ」と同情している、 という構図にしか見えないかもしれませんけど。
何が、誰が 悪いのかとかは 脳みその容量の少ないあたくしには わかりかねますが、 「描いてる本人が一番悪い」という意見は 多分 とても多数意見なのでしょう。
描いてる本人達は それが妄想世界の産物だということは 一番よく知っております。 それでは 読者にはそれが わからないとおっしゃるのかしら。 確かにわからないおばかさんは いらっしゃるらしいですけど。
こういう危ない系のものは、 作家、編集部、出版社、販売店 そして、最終的に成人マークなどで 買う読者にも、 幾重にも予防線が張られていると思うのですけど。
エロ業界というものが 日本ではけっこう自由に発展して来たというのは 世界の見識みたいですわね。 どうしてこの国は そんなに野放しなのか と。 先日いらしたカナダの取材陣も そういう思いからいらしたのかもしれません。
確かに野放し といわれるほど 自由だったかもしれませんわ。
たぶんそれは、 今まで、この国が 節度がないのではなく、 読者ちゃん達に節度があり、 これは 妄想の産物であり 現実とは関係ない夢物語の世界であると はっきり理解して楽しめる という 理性のしっかりした認識があった上での 発展だったのかもしれません。
今のこの国のように 犯罪が溢れて、 性犯罪や、人の命をなんとも思わないような ちょっといったいどうなっているの!? という極悪な事件が後を断たなくなって来た時、 てっとりばやく こういう創作物の規制に走るのかもしれませんわね。
ミステリーや推理ものを描く方も 今の時代 けっこう脱力してらっしゃるのではないかしら。 想像の世界より ずっと恐ろしい現実の事件とか、 人を殺すのに たいした動機がない現実とか。
実際、最近の詐欺とか、殺人事件とか ニュースで見ていて、 『没っ!!』 と叫びたくなる事が よくあるのよ。 それをそのままネームに起こして持って行ったら、 ちょっと有能な編集さんであれば 「こんな説得力のない話で読者が納得すると思うか!」と ネームを叩き返すに違いありませんわ。
この上なく おバカさんで、 自分の頭で考える事を拒否したような人間が ここまで増えて 目立つようになって、 がんがん犯罪を犯すようになってしまった 今、 エロやバイオレンスものの規制が厳しくなる というのは しかたのない方向性なのかもしれません。
犯罪を犯して、 「漫画を読んで、真似をした」 こんな阿呆な言い訳をする輩が 今まで以上に次々出てくるかも知れないと そういう恐怖は ごく 当たり前に出てくるものです。 その後ろにある テーマとか作者の思いとかは たとえちゃんとあっても 受け取ってはもらえません。 そういう人たちには。
でもね、 今回のように 出版社や作家を いきなり逮捕して それで世の犯罪のオオモトを叩いた、と 思っていらっしゃるなら 疑問の余地はおおアリなんですけれども いかがなものでしょう?
それでは ふたたび 危ない世界の構築に戻りますわ。
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