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| 2002年08月08日(木) |
ゼンマイ仕掛けの熊さん |
昔 むかし。 とある牧場でお馬さんに乗った時の事でした。 もちろん、常日頃そんな優雅な事をしているわけもなく 後にも先にもそれっきりですが。
ど初心者ですけど けっこう本格的に 単独でギャロップまで教えて頂きました。
最初は歩かせるだけで息がきれるほどなのん。
お馬さんの足並みにあわせて お馬さんの背中で、立ったり座ったりしなくちゃいけないのよ。 万年運動不足の漫画描きには、 ものすごく大変な作業でしたことよ。
その後ギャロップだったんですけど これはもう 絶対、自分で走った方がはるかにラク! と ド初心者のあたくしは思いました。
そのあと また歩きに戻った時、 やれやれ やっと休める、と思いました。 最初は歩きだけで息切れしてたのに。
そのとき 教えてくれていた牧場のオーナーが おっしゃいました。
「いつも歩いている人は、休む時に止まってしまう。 でもいつも走っている人は 休む時には歩くんだ。 前に行こうとする人は 休む時でさえ前に進んでいるんだよ」
人生も同じだよ
と いかにも脱サラの(かどうかは知りませんが) ちょっとシブくなりかけの お髭の牧場主にふさわしい クサいセリフ。
でも大いに思うトコロあったらしく、 未だにこうして覚えていますのよ。
あたくしもクサいの、大好きだから。ほほほ。
ところが。
自他ともに認める、 人生常時接続全力疾走のあたくしですが。 (ちょっと意味不明かしら) 走っているんだから 休む時には歩いているはずが、 いきなり止まってしまうのね。
そして またこの「止まる」というのが 比喩表現じゃすまないほど止まってしまいますの。
仕事の合間の空き時間くらい せめて掃除洗濯お炊事くらいはしてるかと お思いのむきもあるやもしれませんが、してません。
朝 起きたら 習慣で 仕事机の前に座ります。 座っても作業はないので、そのままじっとしています。
ええ、そりゃあもう、木彫りの熊さんのごとく。 何時間でも。
ごはんを作るどころか ほっておかれたら食べる事さえしなかったり。
あたくしは もしかして ゼンマイ仕掛けで動いているのではないかしらと 自分で疑います。 そのゼンマイを巻いて できる動作は 「漫画を描く」ということだけなんじゃないかしらとさえ。
仕事中に多少の家事をこなせるのは そのゼンマイの余力なのかも。
今日も木彫りの熊さん状態の時 ふと 前述の牧場オーナーの言葉を思い出し、 せっかくの彼の説を あたくしごときの存在で壊してしまってはいけない、と ようやくゼンマイを巻き、 通販作業を終わらせ お買い物に行き、少々のお部屋の整理などもしてみました。 ちょっと人間らしい気持ちになりましたことよ。
もっとも、木彫りの熊さん状態の時も 頭の中では 形になっていないストーリーをつかまえようと それなりに働いてはいるようなのですけど、 自分的に どっかの世界にいってしまっているので 自覚がありません。 ちょっとアブない人です。 それを言ったら漫画描きはみんなアブないんですけど。
明日からは ちゃんと紙に向かってネームを練ろうと思いますわ。 とりあえず、目の前に紙さえあれば 働いてる気分がすると思うの。
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