読書の秋 - 2002年09月16日(月) 京極夏彦氏著の「魍魎の匣」読了。 いや、すばらしい作品です。 随所に配された真相が、愛憎に翻弄される人々の蒙昧によって、現実と妄想の狭間に埋もれてしまい、関連性のないはずの事件があたかもひとつの事件の様相を呈していく様は見事としか言いようがありません。 時折現れる作中小説の醸し出す闇が、連続殺人事件を暗く照らし、読む者の心地を陰鬱とした殺人者の葛藤にシンクロさせるのもすばらしい。 なるほど、作中作というのはこういう風に用いるのだな感心させられること頻り。 箱と不幸に取り付かれた男の心の闇の濃さは、事件の糸を解きほぐす役割を担わされた京極堂こと中善寺秋彦氏の、明るいとは言い難い座敷を、夏日を受けて白く輝いているのかと錯覚させてしまうほどに暗い。 いや〜、大変面白かったです。 日本文学は夏目漱石らを輩したあの時代から、焼き直しばかりで新しいジャンルや作風はもう現れないと思っておりましたが、いやいや、そんなことはありませんでしたね。 浅学な身で日本文学を見切ったつもりになっていた己が浅慮を思い知らされました。 ただ…ひとつ。 そう、ただ、ひとつ、文句を言わせていただけるならば… 長いんだよ! 「魍魎の匣」4cmはあるぜ!? これの前の「姑獲鳥の夏」も文庫の分際で2.5cmはある! この次読もうと思ってる「狂骨の夢」は3.5cmってとこさ! そして、この厚みの半分は 京極堂こと中善寺秋彦氏の薀蓄だ 「飛ばしても話の主軸はちゃんと追えるから大丈夫」とは思うんだが、なにやら挑戦されているような気がして読んじまうんだよチキショウ 夏彦にしてやられてる! …まーBOOK OFFで100円で買った本に、これだけ楽しませてもらったんだから減価償却できすぎってことでヨシとすっか。 内容ぎっしりな本を読んで疲れたので、色んな思いが去来してしまう最遊記ではなく、キャラは萌え萌えだが内容がすかすかなテニプリでも読んで気分転換するとしよう(笑) あ、そういえば最庭記の壁絵を変えるつもりだったんだ。 今日中にやらねば(>ファイト・オレ) -
|
|