Kyoto Sanga Sketch Book
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2002年07月24日(水) 【鹿島アントラーズ戦】〜慎吾 Go!Go!Go!

鈴木慎吾MF(左サイド)
■1978年3月20日生まれの24歳
レッズユース出身。
当時まだ地域リーグの横河電機で正社員として勤務しながら
横河電機をJFLに昇格させ、翌年J2の新潟に。
J1復帰のサンガにレンタルとして引き抜かれた新レギュラーー



「明日は中田コージ君(鹿島)もくることだし、バックででもみるかな」
コンビニのボタンを押した。


売り切れ!



そんな、まさか…・・。
今度はホームゴール裏を選択した




売り切れ!!!






うそやろ。西京極でしょ?駒場でもなく鹿島スタでもなく。
えっ、えっ?あうあうあう?





納得したのは、当日、競技場近くのコンビニで、
凄い光景を目の当たりにしたとき。

「お客さん!レジの列はここからですよ。」
店内を一周するかのような長蛇の列。
高揚した面持ちの家族連れ、パステルメイクに色どった女の子たち、
そしていかにもW杯の木屋町で騒いだような学生達。

皆、手にジュースやお弁当を持って目をキラキラさせながら列を作っている。
パクチソン、柳沢、中田浩二、とささやきながら。

彼らは、「どっちが勝つのかな」なんて語っていない。
W杯に出ていた選手の名を口にするだけで楽しいのだ。
初めての客が多そう。W杯効果だ…・・。


すごい。
今夜は17連敗の弱小イメージを払う
最高のチャンス!

(つーか、あれが強烈すぎるのよね。いつの話や、と思うけど。)




競技場は満席に埋まろうとしていた。
配られたチケットや年間パスポートを除いて(?)18000以上を記録。
バック席には立ち見まで出ていたらしい。

競技場全体のスタンドは、W杯のパブのような楽しげなお祭りムードではなく、
かと言って、殺伐とした緊迫した空気もなく、
いかにして楽しむべきか少しとまどっている大勢の客のざわめきが、
はっきり言って異様。


■選手入場■


「We are ,We are SANGA!」選手入場。
キラキラ光るフラッシュの嵐が、洪水のようにスタンドのアウェイ側に降った。
そして、ほとんど光りもしないホーム側に、サンガの選手も入って来た。

「W杯の選手たちを見に来た人たちは、いったいどちらを応援するんだろうか。」

こんな中で京都が情けない試合なんてしたら、取り返しがつかない。

強いサンガのイメージを植え付けるところか、
「ここが京都の屠殺場になる可能性だって…・。」




■前半■


意外に、試合開始そうそうから、ペースを京都が握ろうとしていた。
怪我のエース、黒部のかわりに上野優作が入り、
1トップ気味の彼を松井くんとチソンがフォローするという感じ。

短いパスをつないで、コンパクトなサッカーを…・というか、
まぁ、いつも通り、豪快にチソン、細やかに松井。
込み入った所にパスを出しては蹴鞠風サッカーを披露(笑)。
(そんな中で、また今日も右サイドの慎吾が一人、独特の直線的なリズムを作っている)

いつも通り、中盤はサンガが握っている。

ただ、一番前線にいる優作がいまいち。
ヘディングしようとしてずれまくるのは仕方ないとしても、
なんか動きに切れがない。

そして、観客はというと…
一応、ザワザワザワとサンガのプレーに注目しているような…。
だんだんと、京都の攻撃に反応しだしている。


「なんか今日も調子いいねぇ、サンガ♪
これで圧勝なんかしたら、かえっておもしろくない。
せっかくの這い登ってきたサンガのイメージがないよーな。」


でも、そんな考えが杞憂に終わったことはすぐにわかった。




中田のPK。
コージがゆっくりコースを定める。
そして、タッタッタ…スコン!

「キャーーーーー!!!!」
反対側、アウェイのゴール裏から歓喜の黄色い歓声が押し寄せてきた。
ああ、やっぱり(涙)。そんなもんよね(涙)。平井君、止められないわよね(涙)。




でも、それから2、3分もたっていないうちに、
今度は男女混成の大勢のどよめきが競技場に広がった。
慎吾が1点を返したのだ。
もちろん総立ちのゴール裏!私もピョンピョン喜んで飛んでいた。

「やればできるじゃない!どーして慎吾はこの時間まで得点しなかったのよ。」
「いやー、彼は営業マン出身だから、人の心をつかむのに手慣れているんですよ。
先制されて、観客の同情心をぐーっと引き付けてから、得点するつもりだったんです!」
「サンガの広報が得点しようとしていた慎吾に“まだまだ”って合図を出していたのかもね」


うん、納得。





違うって。まだ鹿島の最終ラインを破る実力がなかったってこと。

あ、それと前線の3人+慎吾を支えているのはボランチの斎藤君。
テレビでみるとどうだかわからないけど、
競技場全体を見渡せるところからみると、一番目立っていた。




少し遅れて、電光掲示板に表示がされた
「ゴォ――――――――――ル!」

S・スズキ


ハイになって、もう立ちすくんだまま、席には座れない。
いつもとは違う西京極。
でも、いつもの紫の大旗の群れが、今日も京都の空にはためいていた。








■後半■


攻めあぐねている鹿島。京都は取りあえずそのまま、鹿島にボールを持たせて…・
じゃない!手島君、DF引きすぎ!やばい。

鹿島の時間が始まった。

前半は強固な鹿島の最終ラインがボールを奪って速攻を仕掛けるのが
攻撃のパターンだった。
でも、今は押し上げた鹿島がいいようにサンガ陣内に攻め込んでいる。
守備陣が必死に対応しているのがわかる。

そう、チソンや松井らの電池が切れ出したのだ。
(チソンはまだW杯疲労から回復していないようだ。)




手島、和裕、辻本が守備に飛び回ってかけずり回っているのがみえる。
ボールがサンガのゴールに襲うたびに。
ゴール前のアウェイ側から鹿島側の女の子たちの黄色い声が響く。

キャー!(=やったぁ!)なのかギャー(あー失敗!)なのか
どっちだかわからない黄色い声が、幾度も沸き上がる。




鹿島ギャルにとってエキサイティングな事が立て続けに起こっているらしい。
(見えないんだよ、こちらのゴール裏からじゃ)





「一体どうなっているの。向こうでは何が起こっているの?」
「前半も後半も、なんであっち側で試合やるんだろう。毎回京都って。」
「網でもかけて、全員こっちに引っ張ってこようか。」
「いや、この際ゴールをあっちにずらしたら…・
(←この人はゴールをずらしても客席がずれないと意味がないのをわかってない)」


そういえば手島はめずらしく、今日カードをもらっている。
なんとなく気になって聞いてみた。
「で、今日のDFの控えは??」
「・・・いない。」

いないぃ!!!!!!
DFの控えがいない!角田くんが出場停止なだけで。



鹿島がどんどん選手を交代させてカードを切ってくる。
うらやましそうに横目でみながら、私はおろおろしたり、血管ぶちきれそうになったり。


鹿島のDFはみな経験豊かで優秀な選手がそろっている。前半でそれを再確認。
同じ事を、経験の薄い若いサンガのDFに求めても…・・


でも、しのいだ。
延長に入るホイッスルに刹那的な安堵。






■ 延長戦■


相手の方は柳沢、それに今回好調だった本山君を下げている。
その上、延長途中に小笠原君まで。
「なめてんのかー」思ったりしたけど、
こっちもチソンと松井くんを下げているから、同じことを思われてたりして
(そんなことはないか(笑))。


そして、ここで思い出そう。

京都サンガは
延長戦が大好きです。



その通り、次第にサンガがボールを持つようになってきた。

でも、彼らは「あ、ボールもらっちゃった。やだなー。出し所ないー。」と
そろり、と近くの味方にボールを預けあっていた。

このままほっておくと、しばらくもしない間に、鹿島の時間になるのだろう。

でも、アントラーズはサンガの球回しを見ていては駄目だって!
試合が長引けばサンガ選手には「勝てる」という自信がわいてくるはず。
去年J2一年で身につけたアイツら達の思い込みは怖い(笑)。


熱田帝王のタテパス!
ついにハライが動いた。ドリブルの先はゴールの左すみへ!
喜んでなだれ込んでいく選手たち。


ゴーーーーール!!

サンガ、サンガ!!!
今度のゴールには、競技場がすごい拍手で包まれた。

「京都サンガ!京都サンガ!」
屋根がなく、歓声が空に吸い込まれていってしまう貧弱なスタジアムに、
いつものサポーターと、にわかサポーターと、中立だった観戦者の拍手がわいていた。

去年の王者、鹿島を倒した!


すげーーーーー!!!
6連勝って何かの間違いじゃ?


「京都サンガ!京都サンガ!」
2万人の祝福は続いていた。



「だから、言ったじゃない。
サンガは強いって!アントラーズにも勝てるって!
最近だけどね(ポソッ)



バック席にピッチを超えて挨拶に行く選手たち。
スタンドも感動のため?ねぎらうため、一目みるため、いや、ただ動けないのか、
帰る者は少なかった。


…って、スタンド席はどんな感じだったのか教えてくれーーーー。




負けた鹿島の選手たちを待っていたのは
またキラキラしたフラッシュの嵐だった。

一方、京都の選手たちは・・・・・・まぁいいじやない。
みんなの拍手とコールがあるんだから。










今日のヒーローに選ばれた慎吾@元営業職がゴール裏に近づき、
こちらに向かって、
とっても爽やかにペコっとお辞儀をして帰って行った。










こうして、W杯後の
不思議な異様な雰囲気の中で行われたゲームは終わった。




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