薔薇抄 *Rose Show*
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2006年09月28日(木) 引退表明

今から書くことは本当に個人的内容で、バクチク様とはおおよそひとっつも関係ありません。ROSA個人に興味のない方が読まれると申し訳ないので、先にお断りしておきます。本当に日記です。

10月いっぱいで会社を辞めます。そして、メイクアップを人様にさせて頂くことを職業とすることはもうないと、今は考えています。

もうね、いろんな思いが溢れ返っていて、キラメク数えきれない想いが溢れ出して、何から書いていいのか、何を書けばいいのかわからないんだけど、ここに書く必要もないとは思うんだけど、でも、ここを読んで下さってる方々は、わたしがメイクアップの仕事をしていることを、とても応援してくれていた方が多いので。ちょっと説明させて下さい、長くなるけど。

メイクは大好きです。本当に素晴らしい世界だと思ってます。それを職業にできていたのは、とてもしあわせなことだったと、心から思います。
ここにも何度も書いたけど、誰でもきれにになりたいし、違う自分を見てみたいし、なりたい自分になりたいんですよね。それを現実にする方法の一つとして、メイクアップというその名のとおりの方法があるわけです。
誰かのその希望を、わたしが適えてあげられるという喜びを何度となく味わって、お客さまと一緒に気持ちを分かち合って、自分が思ってた以上に喜んでもらえたりすることも多くて、うれしくないはずも、誇りに思わないはずもない。
毎回違う人にメイクすることがほとんどだし、同じ人にメイクできたとしても、メイクってそのとき1回限りのものでしょう?同じものは2度とできないでしょう?一期一会。それも含めてメイクが好きだし、そこから得られる喜びも感動も誇りも、廃れてもいません。これ書いててもその想いを思い出して泣きそうなくらいよ(笑)。
でもね、わかっちゃったことがある。
なんでわたしが藤原美智子さんに、嶋田ちあきさんになれないのか。中野明海さんに濱田マサルさんになれないのか。西山舞さん千木良恵子さん山本浩未さん尾花けい子さんとさえ並べないのか。何故か。
情熱が、足りなかったんですね。足りなかったんですよ。
わたしほんとにね、自信あるんだよ。わたし上手いの(笑)。前述した方々は業界の著名人ばかりですけど、技術なら負けない自信あるの、悪いけど。
でも、なんで同じように活躍できてないかって言ったらね、単なる身の程知らずや負け犬の遠吠えや井の中の蛙みたいにしか取れないことを吐いてるに留まってるかと言うとね、情熱と努力と根性が、足りなかったんですよ。圧倒的に。
結局、貧乏するのも過度に苦労するのも嫌だった。それでもいいから頑張りたいとは思わなかった、最初から最後まで。メイク大好きだけど、その気持ちが何ものにも勝ったりはしなかった。だから。
本当にやる気があったら、美容師免許本当に取りに行っただろうし。パリでもロンドンでもNYでも行っただろうし。それをしなかったわたしは、所詮そんなもんなんですよ。
「だってあんた一生の仕事にする覚悟なんて、ないじゃない」ということに、気付いてしまったのです。
本当はずっと前から気付いてた。知ってたよ。4、5年前には、もう。でも、甘えちゃったんだよね。現状に。前の会社を辞める時こそ、本当はもうダメだと知っていたのに、今の会社を見つけて、新しくサロンを作って下さいと言われて、「じゃあ、その形でならやれるのかもしれない。そこまで苦労したり痛い目見たりしなくても、わたしが望む形で仕事ができるのかもしれない」とか思って。いろんなこと見て見ぬ振りして、甘えて、1年と少しやって来て。
いろんな経験をさせてもらいました。その中で、藤原さん嶋田さん中野さん濱田さん尾花さんTAKAKOさん、業界花形の方のメイクを間近で見る機会があって、他にもメイクブランドのTOPと言われる人たちのメイクも多数見れて、技術に関しては本当に勉強になったと言うよりは自信になったりして。なんだよこれならわたし、相当うまいじゃん、なんて。でも、そこでわかっちゃったんだよね。あの人たちほどの情熱は、わたしには、ない。ないんだよ。メイクすることの他にも、大切なことや好きな人や物が多すぎて。そこまで、もうできない。
今のままでも続けようと思ったらできるんだよ。今までやって来たのに、今日から明日からもうできませんとかはないじゃん。それに、仕事だから。仕事だからと思えば出来ちゃえる部分て多い。前述の方々も、毎日常にメイク最優先で生きてるわけじゃないだろうし。
でもね、メイクが好きだからこそ、一流じゃなくちゃ意味がない、と思うの。一流と言われる人たちと並んで仕事ができなくちゃ、意味がないと思うの。わたしにとってはそうなの。好きだから、末端でもいいから、この仕事を続けていたい、とか、少しでもいいからメイクと関わる仕事を一生続けたいとか、そんな風には全然思えない。一流に登り詰めるだけの気力もないくせに、甘えんじゃねーよって思う。夢見る前に現実見ろと。負け惜しみ言ってんじゃねーと。好きなことで一流になれないで、関わってるってことだけで安心して「メイクの仕事してます」とか、「メイクと一生関わって生きていきたいです」とか、そんないい加減なこと言えない、できない。そこまで頑張る気合いもないくせに、そんな甘えまで自分に許すことはできない。だったらもう、趣味でいいじゃん。特技でいいじゃん。特技メイクアップ。そんで、その辺のプロよりうまいの。その方がいいじゃん。
仕切り直しです。主な理由は、そんなとこ。

それに、わたしの人生と言うものを絡めて考えて。お前は誰だ、と。
メイクなんてね、普段自分でしてんだから、わざわざサロンに来てメイクして貰うなんて、なんかなくちゃないので、平日は本当に暇なの。でも、サロンの営業時間というものがございます。例え1人もお客さまが来なかったとしても、拘束10,5時間。朝10時過ぎに会社着いて、夜の9時過ぎまでいる。いすぎだろ。暇なんじゃ。時間勿体ない。
一生やってく覚悟もできてないのに、そこまで時間を捧げる意味あるのかと。自分で見出せないんだから、ないじゃん。無理じゃん。だったら無駄な時間はなるべく少ない環境作りをするべきだろうと思いました。

仕事するのが好きでした。天職だと思ってた。出張続いてどんなに疲れてても、行ったらいつでも楽しかったし、人間関係どんなに荒れてても、メイクしてればわたしの好きなわたしの精神状態でいられた。その世界はわたしのものだった。だから一生やって行こう、もっと有名にならないと駄目だ、って、一時期は本気で思ってたんだよ。違った。間違えたよ。
わたしそんな、顔に反して野心とかキャリア思考とか全然ないんだった。忘れてた。
やったら楽しくてさー、人に要求されたら結構その通りにできちゃって、周囲の期待に応えたりして煽られてウハウハしちゃってただけで、わたしそういう人じゃなかった(笑)。いろんなもの犠牲にして仕事最優先の生活できるような人じゃなかった。んだけど、気付くのに随分、何年かかっちゃったんだろうね?いやー、なんか薄々気付いてはいたんだけどねー。おとなになったから変わったんだくらいに思ってたんだろうねー。

そうそうだから、わたしってどういう人なの?あなたは誰?ねえ誰なの?とかそういうことですよね。自分を見失うほどに仕事してたわけですよ。なのにっつーかだからっつーか、仕事含めてわたしなんだと思ってた。仕事してるわたしが素敵っつーか、仕事してるから素敵、仕事してないと素敵じゃないとか、思ってたんだろうと思う。「メイクアップアーティスト」って肩書き、格好良いもんね。でももうそんなのいらない。その肩書きがあるからかっこいいとか言われるの、もう飽きた。もういいよ。
主婦だろうがOLだろうがかっこいい人はかっこいい。そういう人になりたい。
ちゃんと生活してるのに、生活感無くてかっこいいっていうのはいいけど、仕事中心に生活してたら、生活なんてどんだけでもおざなりになって、お風呂はいって寝るだけとかでかっこいいとか生活感ないとか言われても、そうでしょうともってかんじだよね。ちゃんと生活できてないんだから。そんなダサいのはもうやめたい。
ちゃんと生活を充実させるには、今の職業はわたしには無理。だって仕事中心じゃないとできない類いの仕事だもん。そりゃそうだよね、自分がやったことがダイレクトにその場で人の顔の上に(!)結果としてでるんだから。生半可な気持ちでやったらいかん。仕事も含めてわたしなんです、とか言ってられっか。仕事こそわたしなんですと言い切れ。言い切れないなら辞めろ。はい(誰と会話)。
だから、仕事含めてわたしなんです、程度の仕事で良かろうと。それくらいの関わり方の仕事をして、生活自体、仕事じゃない部分をもっとちゃんとして(当社比)。
自分勝手にやり散らかして、配偶者が困難したり、迷惑を被ったりしては行けない。幸い我が夫はそんな風には微塵も感じていないであろう世界最上級のぼんやりだが(神)、彼を好きなので、甘えてばかりいるのももうやめたい。メイクが仕事じゃなくなってもどんだけでも生きて行けるけど、彼がいないとわたしは生きて行けないのだから。

そういうのと、まあ…会社の、経営とかの話しの絡み。それはいいや。ま、色々あるんだよ(笑)。でもあの人達は、わたしを手放したことを後悔するだろうし、それに関しては慎んでザマアミロと申し上げたい。

ストイックに、本気でメイクが好きなんだと思うよ。だからお金取るのとかももうどーでもいいの。知り合いとか特に。
だからもう趣味でいいじゃん。

面白かったのはね、仕事辞めるっていったときの、人々の反応。
メイクの仕事をしてないお友達はみんな、不思議がったり残念がったり勿体ないって思ってくれるみたいで。
メイクの仕事してる人たちはね、寂しいっていうのと、羨ましいっていうのと、半々なかんじ。
同じ業種のひとたちは、たぶんみんな、わたしと同じところで悩んだり戦ったりしてるんだよね。だから、お前は行ってしまうのかと。俺は行くよ。お先に失礼いたします。

そう、メイクはコミニュケーションだった。メイクを介してお客さまと、スタッフと解り合えた。通じた。
メイクで知り合った人たちとの間に、共通言語であるそれがなくなった時に、彼らとの関係性がどうなるのかと、何度も何度も考えた。でもなんか、もう大丈夫な気がして。
仕事と全く関係ない部分で知り合ったお友達が、それを教えてくれたように思います。どうもありがとう。
わたしのメイクが好きだから、メイクの仕事をしてるわたしが好きだから、わたしを好きなんじゃないもんね。
メイクを全く介さずにわたしを好きと言ってくれる人たちの存在。
わたしを好きだから、わたしのメイクも気に入ってくれるっていう、そういうこと。
あなたが好きなわたしでいられるなら、メイクなんて全然関係ない、なくていいものですよね。
ま、バクチクは必要ですが。


だいたいそんな理由です。伝えたい人に、伝わるといいんだけど。
次の仕事も決まりました。何かを作ることは、止めたくないと思って探した仕事です。

右手を庇う癖も、爪を短く整えるのも、しばらく続くだろうし、メイクができなくて泣いたりもするんだろうけど、うん。そういうのもいいよね。

10月末までの勤務ですが、有休消化が入るので、14日くらいしかサロンに出ません。土日はもう予約埋まり気味です。
もし最後に、と思って下さる方はお問い合わせ下さい。



とか言って、来年のメイクのバイトもう決まってんのあるの(笑)


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