すずの日記        

すず                       




 飛ぶ鳥跡を濁す

帰りの電車に座れると あたしは そのうち寝てしまう。

でも 今日は起きてた。 
ずっと、観察していた。

ぽっかり空いている二人がけの席 いったい誰が座るだろう。
座る人はいるのだろうか?

やっぱり席を見つけた人は、我先にと小走りでやって来た。
けれど、大抵みんな逃げた。
『うわっ!』
顔をしかめたり、見なかったように通り過ぎた。
空席であることに納得していた。

座席は汚れてないんだけど、
ワンカップのお酒のビン 3個
大量の肉の骨の固まり 床に散乱…… 無理もない。

あたしが ひそかに思い描いた人物は座らなかった。 

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『飛ぶ鳥跡を濁さず』
立ち去る者は、自分が居た跡を見苦しくないように、良く始末しなければならない。また、退き際が潔く綺麗であること。





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2003年01月28日(火)
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