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己は幸福だ。不幸だと思うことのその中で幸福を感じる。 不幸だと、己は不幸だと叫ぶことは簡単だ。本当に簡単に人間とは自分の不幸に酔える。幸福よりも遥かに強く、不幸は人を酔わせる。 不幸ではないのだ。己はそう思う。大学入学と同時に家を出てから、不幸など無かったことに気がついた。それまで嘆いてばかりいた人生のそのどこにも不幸など無かった。 抜け出せないものなど無い。自分の意思で、行動で、抜け出せないものなど無い。家が嫌なら出れば良い。好きな人間と付き合えば良い。己に枷は無い。自由だ。抜け出せないなんて、言い訳で逃げているから不幸なのだ。
愛している人に愛していると言えること。 愛している人から愛されていること。 今生きていること。これまでの人生。 すべてが幸福。
だから良い大人が不幸ぶるのは昔の自分を見るようで吐き気がする。言い訳を重ねる姿に今の自分を見るようで反吐が出る。 己もまだまだ幼い。成長せねば、と我が身を思う。
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