selenographic map
DiaryINDEX|past|will
どうして己はこんなにも要領が悪いのだろう。よりにもよって一番見つかりたくない人間に見つかってしまった。何故他の誰かでなかったのか。どうして今此処に彼女がいるのか。疑問符は己を埋める。 事実は覆らない。二度と消すことの出来無い記憶の中に瞬間に取り込まれた。もう二度と何をしたって取り返しは付かないことを事実と云う。
理由なんて無いに等しいから訊かないでくれと思う。言い訳に過ぎないから訊かないでくれと願う。お願いだからどうしても今それ無しには日々を過ごしていけないから、ただそれだけが真実なのかもしれない。中毒であるということが真実なのかもしれない。 お願いだから奪わないでと思うのは、それ無しには一瞬たりともあの方のお側近くになど居られはしないから。どんなに馬鹿馬鹿しくてもそれは真実の一端。 その先に真実はあるかもしれない。無いかもしれないという可能性を否定することなど出来ないから、本当に真実を云い当てるまで真実はその曖昧さから抜け出せない。 兎に角今分かっていることはあの方の側に正気で居るためには必要なものがあるということ。
子供でもないのに自分で考えることも出来ないのだろうか。口ばかり動くのは他人のことなど云えないくらいだけれど、それにしても不可思議なのは[己がいないと出来ない]という言葉。何故そう思う。己は何か特別な物を作っているわけではない。彫金や裁縫やそういった特殊技能があるわけでもない。 彼女らは考えることを放棄している。それは少なくともある一部分では確かに正しいのではないだろうか。
愛しいとか可愛いとか嬉しいとか、思うよりも先に、感情的な憎しみが理路整然と投げ出される。
波 2002年11月号/新潮社 2002 第36巻, 第11号(通算395号)
図書 2002年11月号/岩波書店 2002 第643号
紅茶王子18/山田南平/白泉社 花とゆめCOMICS 2002 ISBN4-592-17238-8
|