首筋の傷跡で、貴女を誰にも渡さないでいられたら。 苦い。痛い。 動揺する視界。振動する身体。 不安定な精神。音に頼らなければ歩くことも出来ないほどに脆い。 独りで歩いていくことにもうそろそろ慣れてもいいはずなのに。 奈落の底へと堕ちて行く。閃光で何も見えない。 一瞬の光が奈落へと導く。闇に溶けて見えない。 闇は恐ろしくない。光こそが奈落へと突き落とす神の掌だから。