selenographic map
DiaryINDEX|past|will
2002年05月04日(土) |
moonstruck |
だから消え失せて。
関連付けることで記憶は保たれている。記憶したことは、不意に思い出されることがある。全く思いもかけないような瞬間に、思いも寄らない出来事を思い出す。 その記憶が消えない。 忘れようとするほど残ってしまう。 口に入ってきた砂か何かのようだ。 消えない、取れない、いつまでも。
「物質」は残ってしまうから。言葉のように消え失せないから。 例えば贈り物だったり、ノートの切れ端だったり、それが己の一部と化して己を苛む。その共有された時間が己の記憶を叩き起こす。 必要なものなんて、本当はもっと少ないはずなのに、貪欲に飽くことなく手に入れ続けてきた「物」達が記憶を残して、残滓を残して、いつまでも消えない。
声を発するということ、それが与えるものは没頭と陶酔とそれによる忘却ではないだろうか。詩を追い、音声にし、それを聞く。ただそれだけに浸って、他の何もその中に入ることは出来ない。眠りよりも深く、静かな場所。
|