終わりの見えた生活の中、過去を振り返る時がある 蘇るのは流れゆく景色、けたたましい排気音、背中の温もり、シャンプーの匂い 当時の日常が思い出となった今、楽しさだけが心に残る 幼く他愛ないあの時間が切ない愛おしさを感じさせる
今の生活に不満がある訳ではない ただ、あの頃が素晴らしく見え、後悔を呼び寄せているだけ
あの時ああしていれば…
似合いもしない言葉を並べ這い蹲ってでも取り繕って… そんな時は、そんなことは無意味だと、自嘲する そして失った者の大きさにただ愕然とする
もう二度とあの時には帰れない
その言葉を思い浮かべる度、ひたすら悲しみに苛まれる 帰りたいのではない、ただ笑いたいだけなんだ ドーナッツを片手に大笑いをするその姿に笑みを浮かべたいだけ 興味の無い話を聞きつつ、幸せだと勘違いをしたいだけ
何を間違ったのか… そんな事をまた考え出す そしてまた自嘲を繰り返し、過去の大きさに囚われる
どうしてしまったのだろうか? そんなに別れが惜しいのか?
それこそ勘違いなのだろう 目の前にあるのは別れではない 別れは既にあの時、来ていたのさ その影に何か望みを掴もうと足掻いているだけ
手を伸ばし、その距離を知ったあの時、 歩むことを止め、拒絶することを選んだあの時、 その瞳を、視界に入れることが出来なくなったあの時 その儚い繋がりを自分で無碍に放り投げたのさ 後になってその大きさを知るとも知らずに
何がしたいのではない ただ笑いたいだけ くだらない話をチョコとコーヒーで進めたいだけ
迷走に身を窶し、想いを文字に換え、振り返る
先へ、進む
一歩踏み出せば、仮初の関係を築けるだろう だけど、そこに求める者は無い もう失った者は見つからない
ひどく悲しいこの気持ちを 報われぬこの気持ちを 自己への怒りを 先への一歩に換えて
一期一会の意味を知る
ああ、アナタとまた笑いたかったです そんな望みが今の自分を縛るのです
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