2003年04月14日(月) 飲食店員の舞台裏




『なんか今日も暇っスね〜』


「ヤバイね、この店

 でもそんな事言っていると混み出すからイヤだよ」


『俺ら二人の時は決まって混みますからねぇ』


「店長も早々と帰りやがったし」


『ありえませんね、何か起きた時の責任は誰が取るんだっつーの』


「そういや、今日、新入社員が店に顔出すらしいよ?」


『アレ?配属って明後日でしょ?』


「なんか早く慣れたいから客として来てみたいんだとさ」


『やる気っスね〜』


「早々と燃え尽きちまうのがオチだけどなぁ」


『ハハッ』


「明日とかも来るらしいし…

 配属前のせっかくの二連休を自主出勤で過ごすなんてなぁ?」


『ありえないから、普通

 何しにくるんですか?』


「研修の時、ハンディの扱いが苦手だったんだと

 その練習をしたいんだってさ」


『もう二連休なんてそうそう取れないのに…』


「まぁ、アレじゃん?

 引っ越してきたばかりでどこか遊びに行こうにも独りじゃあ…って?」


『アア、そっかぁ

 それだったら早く仕事に慣れたいと思うかもしれないですねぇ』


「どっちにしてもこれからイヤってほど仕事漬けの毎日だよ、俺みたいに」


『世知ガレェ…』


「多分ヒドイ目に遭うと思うよ?去年の新入社員みたく」


『でも女の子ですよ?あのオッサンだってユルくなるんじゃないスか?』


「イヤイヤイヤ、甘いよ

 店長、外見でしか人を判断しないからね!

 かわいくなけりゃ甘くなんかしないよ、あの人は

 早々に見切りをつけて使い捨てるんじゃない?」


『マジでやりかねないからなぁ、あの人は』


「男でもいれば、まだ気晴らしが出来るだろうけどね」


『でも、アレじゃないっスか?

 続かないでしょ、この仕事やってたら』


「あ〜、まず別れる事になるね!

 会えないし、会っても次の日、また朝から仕事だし

 何も出来ないで時間が過ぎて終わる、だよ」


『ですよね〜』


「お互いキツイと思うよ?この職種に就いちゃうと

 付き合い、何て出来ないから」


『逆にこの仕事している限り、出会いも無さそうですし…』


「無いね!ナイナイ!!

 あってそこの社員くらい?

 でもお互い忙し過ぎてダメになるか、

 または一緒に辞めるかのどっちかでしょ?」


『ハァ〜…、大変ですね、副長も

 ってか、何なんだ、この仕事は」


「仕事じゃないんだよ、あの店長がオカシイだけだから

 自分さえ良ければ、人なんかどーでもいいからね!」


『ああいう上司だけは持ちたくないわ、実際』


「だろ?まぁ、違う意味で、新入社員のことは守ってやるつもりだよ」


『そうっスねぇ、入社一ヶ月くらいで飲み会でも誘いますか?

 愚痴の一つくらいは聞いてやって下さい』


「アア、そのつもりだよ」


『じゃあ、いつものところで?』


「よろしく、…ああ、お客だ

 ワリィ、俺、便所

 さっきから我慢してたんだよ、腹痛くってさ〜」


『オイ、またかよ!』






『いらっしゃいませ、こんばんは

 お客様、お二人様ですか?おタバコは?

 では、ご案内いたします』


『65番お二人様です、ペルファボーレッ!』




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