今朝は気持ちの良いほど晴れ渡っていて
段々と藍色が朱色に変わっていくのが綺麗で
デジカメを使って何気ないものでも撮ろうかな…
なんてね、思い付きでほの暗い朝の通りに出ました
空が良い色でさぁ、
でも、電線や鉄柱が邪魔して、なかなかどうして…
だから、やや背の高いマンションに登ってみました
良い景色だったぁ
富士山がさぁ、輝いているんですよ
もうすっかり雪を被っていてさぁ、
ホントに富士山だけが朝日を浴びて光っているんです
他の景色は藍で、富士山だけが白と朱
なんだか、シミジミしたものを感じました
何枚か何気ないものを撮って引き上げる
一日が始まるなぁ…そんな感じでした
「先輩?」
道路の方から呼び止められて振り返る
聞き慣れていないマフラー音
見慣れないバイクに跨ったミスドが手を振っていた
ミスドのバイクの音はね、聞けば分かります
『アッ、ミスドだ』、音を聞いた瞬間、何と無く分かる
『今日は違うバイクに乗ってんだぁ』
Uターンし、こちらに向かってくるミスドを迎える
明け方、そりゃあ寒いよ
頬を真っ赤に染め、震えながら笑ってる
「何してたんですか?ってか、珍しい!朝、起きてるなんて!」
『良い天気だろう?山撮りついでに、ブラブラ散歩』
「アー、今日、すっごい綺麗ですもんね!」
『そっちこそ何してんの?』
「バイクの練習!ターンの練習してて…」
「昨日の九時からずっと海岸で…」
「今日、これから1コマですよ…」
「借りたバイク、また壊しちゃった…」
嬉々としてバイクについて語る
新しく入ったバイクサークルは楽しいかい?
そうだな…、ウチの部は血眼になって稽古するだけだもんな?
“楽しむ”要素は無いかもね…
新しい仲間とはうまくやっているかい?
論文、終わりそうかい?
朝、起きれるようになった?
バイト、辞める踏ん切りはついたのかい?
もう、何も分からないや
会わなくなったもんなぁ、最近
同じ学校、同じ学部、同じ部活にいても会わないもんなぁ
ハハッ…、分からねぇ
全然キミの事が分からねぇや
遠いなぁ…
なんだか…さ?
すごく澄みきった空で
すごく気持ち良くて
景色なんか、感動的で
寒いのにさ、なぜか暖かくて
寝ていないのに目は冴えていて
ミスド、屈託も無く笑っていて
あれやこれやと色々話して
あげたお茶を頬に当ててホワ〜ッとした顔を見ていたら
すっきり、した
すっきり、しました
第7章、終わります
ココで一句
手を伸ばし その時初めて 距離を知る
御粗末です
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