2002年10月08日(火) ある日常の風景(配達員の葛藤)




俺が新聞配達をして生計を立てていたのはもう4年も前の事

その当時、流行っていたものがあるんです



貞子です



確か配達始めた頃が全盛期だったと思う



アレはさぁ、日常で触れる“ビデオテープ”やら

“テレビ”を媒介にしたホラーだから怖いだってな?

だからその後、“回路”って映画も“ネット”を媒介にしてた



まっ、その当時の流行ではあったわけでね



俺も観ましたよ、2回もねぇ

基本的に一度観た映画はその後は観ないんだけど付き合いでちょっと…



そのお陰で見事に“貞子”が脳裏に焼きついていたわけで…



配達の行われる時間、エエ、真っ暗です

そして、東京の下町、それも変に寂れたビルが立ち並ぶ



イヤにカビ臭く…蛍光灯がチカチカと点滅する…

壁には何のシミだか分からないもの点々と…

真っ直ぐ続く廊下、奥は蛍光灯が壊れて真っ暗

その先にある扉だけ、妙に浮かび上がっているんですよ



当たり前だが、何の音もしない



草木も眠る3時過ぎ



真っ暗な廊下…妙な臭い…



俺、生唾飲む



階段までは電気が点いているんです

で、配達する家の玄関までの廊下は点いていないんです

そのせいで、闇がより濃く…ね?



俺、怖がる



だって、怖いものは怖い



それでも配達しないワケにはいかない…



嗚呼、葛藤



で、毎回、意を決してその扉までダッシュですよ、他には目もくれず

ダダダダッ…とね?

また、その走る音だけしかしないのが怖いんだわ



廊下は真っ直ぐにのびている



勢いで玄関まで到達、配達完了



が、しかし!



ドアポストに入れた新聞から手を離す

配達はまだまだ続く…早く次の配達先まで行かなければ!



でも、振り返れん!



脳裏に目まぐるしく写る映像は

“振り返った後、その暗闇の向こうに立つ貞子…”



(俺の心の叫び)「ヤベーって!

         絶対、立ってるよー!

         何か変な気配がするもんよー!」



だが、そんな事を言って入られない…早く配達を続けなければ



(俺の心の声)「い・居たら居たで、ぶん殴って逃げる!

        大丈夫だ、頑張れ、空手家!」



意を決して振り返る俺



勿論、そこには誰も居ない

ただ、廊下が続いているのみ



そう…、ただ廊下が続いているのみなんですよ

真っ暗な廊下、その先にポッと照らされている階段

変な臭い、変なシミ、無音の空間、ナゼそこにある三輪車!

それはまるで、現実感の無い、ある映像を観ている様な…



マジコウェ〜!



また意を決してダッシュする俺の姿は容易に想像できるっしょ?



そして、そんな思いをしながら配達する俺に対してお客さんが一言

「もっと静かに配れ」



















ら・ら・ら〜(涙)



と、まぁ、こんな風に楽しみながら配達を続けていました



配達では他にもイロイロな出来事に出会う



酔っ払ったオヤジがお小遣いくれる

酔っ払ったネーちゃんを助ける

ゴミ捨て場に変な物体が捨てられているのに出会う

タバコをふかす中学生にカラまれる

暗くて分からずゲロを踏む

配達されていた牛乳を盗み飲みする

ムカつく客の新聞を、中身何紙か抜いて配達する



エエ、そうです…



やる事、ガキです



イヤァ〜、若かったにゃ〜、あの頃は



ココで一句



辛くても 楽しんでしまえ 若僧よ!



どんなに大変な仕事であっても気の持ち様次第ですな!

つまらないなら、自分で面白くする、コレ、モットー



ただ、悪戯はホドホドに…



御粗末です

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