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2002年04月08日(月) 回想 |
ずっと夏の夕方のような橙色。 昼間はあり得ないほどいい天気で。 怖くて外に出れなかった。 Tシャツとハーフパンツという格好で 久しぶりに部屋の掃除。 結局増えすぎた漫画は収まりきらなくて 今も私の横に積み上げられたまま。 夕刻になって空が青くなって。 安心して病院に向かう。昨日の治療の続き。 ガーゼを止める大きなテーピングで 私の首はすっかりかぶれてしまっていた。 「あら、かわいそうに」 小さい子に言うみたいな先生の声と消毒液の匂いが 曖昧な昔の記憶にそっと触れる。 小学校低学年。 喘息がひどくて、よく学校を休んで病院に行った。 隣のベッドの子に「退院おめでとう」を言われたのに 運動会を挟んで一週間後には「おかえりなさい」と言われた。 「体重が20Kg越えたら欲しいモノ買ってあげる」 おばあちゃんが約束してくれた。 ぼやけた思い出。夢を見ていたような。 掛かり付けだった先生は今は町の開業医で。 同じ病室にいた女の子は随分前から仕事に就いてて。 入院してた頃の病棟は改装されて跡形も無い。 喘息も出なくなった。体重も増えた。 ガーゼは小さなバンソウコウと取り替えられた。 外はもう濃紺で心地良かった。 |
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