サブステージは燃えてましたか? (桜島ライブ37) |
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2004年10月09日(土)
『サブステージは燃えてましたか?』−桜島ライブ(37) text 桜島”オール”内藤
スポーツニッポンは、この細い記事だけ。写真は第3部のときのもの。 隣に3倍以上のスペースで報道されているのは、 杉田かおるの24時間テレビマラソン・・・
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M-24 Keep on Fighting −アルバム『Keep on Fighting』(2003)−
ズン、ズン、チャッ! ズン、ズン、チャッ! ズン、ズン、チャッ! ズン、ズン、チャッ!
『順子』で20年前に戻っていた僕の意識。
それはまるで幽体離脱のように、 今を生きる僕の体を離れて、 時空の壁を越えて、 小学生の僕に語りかけて・・・
そんな時間旅行の途中だった僕の意識は、 ホップなリズムにどよめく歓声によって、 大慌ての大急ぎで、 20年前から、2004年8月22日へと、 アクセル全開でワープするはめに!
きつい、きついよ、剛。 思い出をたっぷり吸い込んだ1979年の『順子』から、 2003年最新アルバムのタイトル曲かい! 24年間、ひとっとびかい!
そう、容赦ない揺さぶり、 これが剛のキャリアの頂点、ザ・桜島ライブ。 思い出にひたる隙もなく、 ミュートの効いたカッティングが追い討ちをかける。
ここが正念場、『Keep on Fighting』!
時空を超えて戻ってきた魂を吸い込んで、 僕の体もファンキーに揺れる。 サンプリングした剛の声に合わせて、 両手を挙げて人差し指を何度も突き上げた。
Keep on, Keep on, Fighting! Keep on, Keep on, Fighting!
この歌を初めて聴いたのは、 オールナイトニッポン、『今夜はバリサン!』でした。 その前に、どこかのCDレビューで、 この『Keep on Fighting』の記事を読みました。 「剛がラップ!?」 「剛がヒップホップ!?」 イヤ〜な予感がしました。
行き詰まりを感じてか、それまでのスタイルを方向転換し、 ファンからそっぽを向かれてしまったアーチストはたくさんいます。
古くはボブディランなんかも、 エレキギターを持ち始めた頃に、 ブーイングの中での演奏を余儀なくされているし、 拓郎、泉谷、清志郎もそういう時期がありました。 最近では、椎名林檎や、鬼塚ちひろ・・・
他でもない、剛自身も、 弾き語りからバンドに変えたとき、 かなりのファンが落胆したと聞いています。 弾き語り時代を懐かしむファンの声に屈してか、 ファンクラブ会員限定で、 弾き語りツアーを復活させたりしたことも・・・
それに、どう考えても、 剛とヒップホップというのが結びつかない。 僕自身、剛の弾き語り時代、 つまりフォーク時代の曲調に思い入れがあり、 新機軸には拒絶反応が起きやすい部類のファンに入るはず・・・ さらに、さらに、音楽の嗜好としては、 ラップやヒップホップには、 あまり魅力を感じていませんでした。 なんだか言葉遊びのように思えて、 歌のイメージ、歌の世界が、 僕の頭の中で広がって行かなかった。
そんな状況があって、 おそる、おそる、聴きました。 新曲『Keep on Fighting』を。
よかったんだな、これが!
もうねえ、 バリサンによかったんだよ。
おなじみの素材を、一流のシェフが、 ちょっと変わったテイストで料理した感じ。 歌詞はいつもの、剛の世界。 頭の中で、歌のイメージが広がった。パーッと。
震えるてめえの小さな 肩も抱きしめられもせず 臆病風にふらふら 小突き回されてばかりで 泥水噛んだ負けっつらで 路地裏をとぼとぼ歩き 背中丸め 今日も孤独よそおい 歩くのは誰だ
チキショーッ!
変わらないその世界観。 入れ物がいつもと違うけど、 そんなのほとんど気にならない。 悪くないよ、いい曲だよね、 なんておざなりなほめ方じゃあないよ。
大好きなんだ、この歌!
だから、ノリノリで叫びました。 みんなと一緒にチキショーッ!て。
Fighting! Fighting! Fighting! Fighting! Keep on Fighting! Yeah!
土壇場、ここが正念場さ
Keep on Fighting! Keep on Fighting! Keep on Fighting!
Yeah! Yeah!
これまでとは違ったノリで揺れる体が心地いい。 自分を鼓舞するような歌詞も喉に心地いい。 充実、充実の、第2部。
気付くと、剛がステージ袖に消えて行きました。 なにやら、向かって左の奥の方で、 何かが行われている様子。 あまりにも遠い、Aブロックの端の方での出来事で、 僕の肉眼で捕らえられる距離ではなくなってしまいました。 いったい何が始まるんだと、スクリーンに目をやると、 スタッフが運転するジープに乗り込んだ剛の姿!
そうか、サブステージ!
ライブのブロック配置図が出まわるようになってから、 サブステージの存在はおおいに噂されていました。 ステージの左右もサブステージには違いないけど、 後ろのブロックの観客のための、 もう一つのセンターステージ。
そこへ向けて、剛を乗せたジープは、 『Keep on Fighting』の間奏を利用して移動して行きました。
さっきまで、超ド級の特等席だったA−5ブロックは、 みるみるうちに後方ブロックに成り下がり、 それとは好対照に、剛のジープの周辺は、 スクリーンで見る限り、大変な騒ぎ!
やがて、肉眼では剛の姿がまったく見えなくなり、 なにやらスポットライトを浴びて、 人波が揺れている個所が確認できるだけとなりました。
構わず『Keep on Fighting』は、 舞台を客席後方のFブロックあたりに移して、 2番の歌詞に突入! ずいぶん遠くなった上に、機材の裏で完全な死角。 それでも拳を上げ、歌う、A−5ブロックの僕ら。
やがて・・・移動時間も含めての、 長い長い『Keep on Fighting』が、 剛の甲高い絶叫と共に終わり、 桜島に一瞬の静寂が訪れました。
一体全体、サブステージはどんな感じなんだろう? 必死に、探ろうと感覚を研ぎ澄ませた僕でしたが、 機材の裏では、その空気を読み取ることすら至難の技でした。
剛のマイクを通じて聞こえてくる歓声は、とても小さい。 さすがにちょっと心配になりました。 今まで、肉眼では見えないほど遠くにいた剛を目前にして、 果たして、盛り上がってるのか、サブステージは?
メインステージに背を向け、 はるか彼方、サブステージの方向を眺めている僕の耳に、 剛の声が飛び込んできました。
「何? 聞こえないよ!オイ! ツ・ヨ・シ! ツ・ヨ・シ! だろ! 俺も、お前らも、 今日は声が枯れるまで歌うんだぞ!」
怒鳴るような声で、剛の激が飛んでいました。
僕はその声を聞いて、 一瞬、凍てつき、立ちすくみました。
続く
<次回予告> どうした、サブステージ!? そんな僕の憂鬱を吹き飛ばしたのは、やっぱり歌の力。 ゼッタイ欠かせない歌の数々を、 突き動かされるように歌う剛。そう、あのときのまま・・・
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