| 2002年09月07日(土) |
「加速するバカ化」を読んで |
やぶにらみ科学論(12) 池田清彦 ちくま2002.9
仕事場に送られてくる出版社のPR誌。 どこの出版社のものも売れっ子作家さんの小説を連載したり 本の宣伝にもあらゆるジャンルの人を起用したりと薄いけど情報集めには便利。 なかなか楽しんで読んでいる。もちろんただだから気軽に読んでいるのだけど・・・
その中でもちくまは表紙からして、過去絵本担当だった私の心をくすぐる望月通陽さんで つい手にとりたくなってしまう雰囲気がある。(前年はたむらしげるさんだった) http://www.chikumashobo.co.jp/w_chikuma.html ここで表紙も目次も見られます。
もう1つの特徴は楽しい読み物も多いけど、同時にこの国を憂える文章も必ず目立つ。 なだいなださんの「人間、とりあえず主義」は今月はアメリカを憂えています。 そしてタイトルの池田さんはもうタイトルからしてバカゆうてますが 文中に何回「バカ」が出てきただろうか。面倒くさいので数えませんが・・。 大学教授なので学生の今の状況から、その状況にいたるまでの 日本の教育、日本社会について、繰り返し「バカバカ」書いています。 本当にごもっともで、私の周囲にも彼が文中で罵倒しているような「おバカ」な学生さんが たくさんいて、私も日常びっくりして腰砕け状態になっているのでよくわかります。 たとえば・・ 「現代の日本の大学生の八割は、大学に来てはいけなかった人たちなのである」 「私が無駄だと思うのは、少しでも硬い本を自らすすんで1冊も読むつもりもなく大学に入学してくる人々である。 あるいは辞書を引いても英文の論文を自力で読むことすらできないのに大学院に進学したいとのたまう学生である。」続いて「能力もないのにそうした高等教育に進むことを不思議だとも思わない学生は理解できないのは教師の教え方のせいだと思っている典型的なバカである」ともう驚くこともなくその辺りに転がっているお話を書いている。 とどめは知人の家庭教師の体験談で、大学進学を控えた高校生の娘さんが100−77が解けないという話だ。 ここで本当?と疑う方は幸せかも知れない。私は嘘ではないと思う。実際そんな人を知っている。 「うんうん全くその通りよ!」と意味ない和みを覚えたり・・。 自分の周囲だけかと思っていたら、やっぱり世間的にそうなのね。としてはいけない安心してみたり。
でももう日本の教育のダメダメさは私が小さい頃から言われてきたと思うんですけど その過去から今の今まで改善されて、よくなったという話はまったく聞くこともなくず〜と落下しているのですね。 その証拠に、インタ-ネットや携帯がバカに拍車をかけるとも最後の方で出てくるのですけど これもちょっと前はテレビ、ゲームや漫画が当て込まれていたんですよね。 状況はやっぱり昔と余り変わっていないのだけど、確実に勉強よりつい楽しんでしまうものが増えている。 そして私が子どもだった当時は大人と言われる人は手をつけないか、卒業したものに相変わらず手を切れずにいる。 子ども時代が長くのびちゃってんのね。
でも学生だけでないのだ。教える側である先生側にもバカがたくさんいるのだ。 それも本当。どんなこずるい手を使ってこの人はここで教授やってんだろ?と思わせるような人が・・ それも本当よね、毎日のように教師や教授の不祥事が新聞に載っているものね。 池田さんは最後に、教育改革がどうなろうと知らんと突き放している。 生い先短いから関係ないとのこと。バカとは付き合いたくないそうです。 なるほどね。気持はわかります。それにしてもこれを書いている時に何か辛いことがあったのでしょうか? (私も昨日辛いことがあって投げやりな気持になりましたから) もしそうでなかったら、一時の気の迷いでなく本気でそう思っているのなら そんな風に「わしゃしらん、後は野となれ山となれ〜」がこんな状況を生んだ一因でもあるんじゃないかなあ。 と思うのですけど。
いっつも思うんだけど、本当にこうした憂える文とかを憂えられている人々は決して読まない。 以前、家庭の悩みや教育の悩みを少しでも減らせたらと考えて公演会や懇談会などを開いても、 本当に来てくれたらいいのに〜と思う心配な人たりは来ないと教育関係の人が何かに書いていた。 来る人は心配のない、教育にほどよく熱心な、子どものことを育てている人なのだそうな。 その状況もわかる。 使用上の注意とか読まなくてもおそらくムチャなことしないから、大丈夫な人ほど説明書とか読んでいる そんなかんじ。 「お前は読め!」みたいな人ほど、商品あけたらサッサと使って、ムチャしそうな人は説明書など 一生読まないか、すぐに捨てそう。
きっと池田先生の教えでいる学生さんたちもこの文読まないんだろうなあ。 本のB5版で4頁なんですけどね。ネットに携帯、ついでにテレビ見てる人は一生この文を読むことないんだろうなあ。 でももし読んだらどんな反応なのか、チョット知りたい。
この池田さんの話と連動するようにして、重松さんは別のコーナーで日本の教育を憂えています。 今回は「理科離れ」です。理科の授業がそんなことになっていたとは・・ どちらかというと、こちらの方が救いがあります。
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