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薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木     2004年01月23日(金)

先日直木賞を受賞した(そういえば京極夏彦様おめでとうございます)から、という訳でもなく、たまたま読書をしたいタイミングとモロモロがからみあって購入。
非常に美しいタイトルにまず惹かれるが、読んでも満足。9人の女性たちのそれぞれの視点が入れ代わり立ち代わりあらわれるけれど、バタバタした印象はなく、静謐な感じすらする。解説の唯川恵も書いていたが、誰かに感情移入しながら読むタイプの話ではない。
かと言って上っ面だけの人物描写という訳ではもちろんなく、登場人物の誰もが私であって私でない、という感じだろうか。友達のあの人に似ている気もするし、職場のナントカさんに似ている気もする、そんな女性たちが登場する。

面白いな、と思うのは、登場人物の誰かの夫である男性が、他の女性にとっては恋人であったり、義理の兄弟であったり、単なる「友人の夫」であったりするのだが、当然こちらにとっては魅力的でもあちらにとっては鼻持ちならない男だったりする訳で。
魅力なんてものはごくごく私的で個人的なものなんだ、と言う当たり前の事が紙の上で繰り広げられるととても不思議ではっとさせられる。
誰も彼も愚かだなぁ、と思う。私やあなたが愚かであるように。
ちなみに、強いて言えば私が近いなと思うのは陶子かな。あんなに器用ではないし、私の方がかなり直情的ではあるけれど。






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